発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)の当事者である借金玉さん。早稲田大学卒業後、大手金融機関に勤務するものの仕事がまったくできずに退職。その後、“一発逆転”を狙って起業するも失敗して多額の借金を抱え、1ヵ月家から出られない「うつの底」に沈んだ経験をもっています。
近著『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。
働かなくても生活することはできますが、生活せずに働くことはできません。仕事第一の人にとって見逃されがちですが、生活術は、仕事をするうえでのとても重要な「土台」なのです。
この記事では、本書に掲載した料理の原理原則を使ったレシピを紹介します。

 はい、クリスマス借金玉めしやります。秋鮭ですね。スーパーのやつなので、やはりウロコの残りもあるし表面のヌメリも残っている。これはスーパーを責めることじゃありません。むしろよくやってると思います。だから、鮭はまず一仕事するのが大切になります。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

 50度くらいのお湯かけてみましょう。「思ったより表面のヌルが悪さしてるな~~」と気づくと思います。この鮭のヌル、時間たつと酸化して臭み出すんですよね。鮭はヌルヌルしているので、表面をキレイにしなきゃいけない。包丁でこそぎ、ペーパーで拭きましょう。これで味が決まります。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

 すっきりしましたね。ここまでやっとくと美味しいです。「魚はペーパーで巻いておくとうまくなる」なんて僕は表現しますが、ここまで下拵えだと考えるといいでしょうね。今日は塩〆はなしです。間違っても熱湯はかけないでください、最悪粉砕します。マジで鮭弱いから。50度厳守。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

「魚は霜降りで臭みをとれ、熱湯ドバーだ!」ってあれ、かなりウソです。弱い魚は熱湯かけた瞬間にタンパク質が固まり切ってパッサパサだし、そのあとの調理工程で砕けるリスクも高まります。50度でかなりの部分が取れるので「やさしく湯洗い」が基本だと思った方がいいです。

 先のソース作っときましょう。生クリーム、芝麻醤、塩、粉チーズ、レモン少々。これがね~~、メシに合うんだよね~~。お惣菜ソースです。簡単でウマいのでオススメレシピですね。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

 粉は、米粉とコーンスターチを1:1です。これは最近台湾とかから攻めてきてる揚げ鶏屋の技法ですね。この衣うまいんだよね~。表面に軽くはたいて。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」
発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

 ちょうどみまから唐辛子をもらったところだったので、ごま油に香り乗せてみましょう。誰がムニエルを作ると言った? 僕が作ってるのは中華風お惣菜ですよ。ごはんおかわり出来るやつ。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

 火入れは各自深めてください! 油とフライパンのヘリを上手に使って皮をパリっとさせ、かつ身は火が入り過ぎると食えたものではないので熱を入れ過ぎない。フライパンの熱勾配を上手く利用してうまいことやりましょう。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」
発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」 

 付け合わせはクレソンが合うんだよね~。鮭に下味が一切ついてないので、ソースと口の中で混ざり合い口中調味のエッジがでます。完全に「おかわりいるだろ?」って味です。定食屋のお惣菜ですね。クレソン、北海道にいる頃地場山菜だと思ってめっちゃ獲ってたけど、普通に外来種だった。

発達障害の僕がクリスマスにおすすめレシピ「鮭のムニエらない」

 本日一番大切なことを言いますが、北海道に自生しているクレソンは絶対に生食してはいけません。エキノコックスで死ぬぞ。東京に来て初めて「クレソンは生で食うもの」だと知ったからな、僕は。試される大地はすぐキルレート稼ぎに来るからな、油断するなよ。

 盛り付けはカワイイ皿を使いたかったので調子に乗りましたが、味はオシャレ感ゼロです。食べ盛りの高校生なら残ったソースでごはんもう一杯いくでしょう。だって、味の構成タルタルソースと一緒だし(卵黄の代わりにゴマです)。

 この料理は鮭に塩入ってると「うまくない」です。手癖で塩打たないのが一番大切。表面に無駄な塩あると味がチグハグしてメシ進まないぞ!潔く「下味一切なし!」です。その代わり、丁寧に下処理しましょう。酸化したヌル、あれくさいので。