10万部を突破したベストセラー『発達障害サバイバルガイド──「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』では、著者の借金玉さんが幾多の失敗から手に入れた「食っていくための生活術」が紹介されています。
働かなくても生活することはできますが、生活せずに働くことはできません。仕事第一の人にとって見逃されがちですが、生活術は、仕事をするうえでのとても重要な「土台」なのです。
今回は、本書で紹介されている「料理の原理原則」を最大限活用したレシピを紹介します。
今日は納豆チャーハンです。
最近「レシピ」ってほどのモン作ってなかったけど、これは結構レシピなので出します。覚えたらわりと便利。ご用意いただく食材はこれだけ。
はい、玉子やりましょう。ここはね~~、根性入れてね~~、卵がちょっと浮くくらい素敵な油を使いましょう。ここばっかりはね~~、油減らすとうまくないのね~~。どれくらいまで減らせるかは、各自チャレンジするといいと思います。増やす方の許容量はマジでデカい。気にしなくていい。料理に油はね、いっぱいいれると大抵すごくいい。
というのもですね、チャーハンって「米料理」なんでしょうか。もちろんそう考えてもいいんですが、このレシピでは「違う」と考えています。これは「卵料理」です。そして、卵って油をたっぷり吸ってフワフワしてるとめちゃめちゃ美味しいんですね~~。
はい、玉子はこんな感じのとこで一回セパレートです。加熱し過ぎると美味しくないですからね。ゴムべらあると、フライパンに残さず全部とれて、ロスも出ないし洗う手間もなくていいですね。スパチュラとかプロはいいますが、ゴムべらは便利とだけ覚えておいてください。マジ便利。木べらより耐熱ゴムがいいですね。
はい。ちょっと油入れて、納豆とショウガ。
玉子のクズがちょっと残ってる? 気にするな、香ばしくなるから。ちょっとコゲたくらいが香り出てうまいんですよ、いいのいいの。納豆もね、火を入れてやると香ばしくて甘くてうまいんですよね。
はい! 本日一番のコツです! 本日鍋を振るのはここだけ! 納豆はあまりいじらず、これくらい色味つくとこまで焼きこんでから「返し」ましょう。ここね、いじりすぎると風味がでなくなります。つい触りたくなるんですが、我慢してしっかり焼き色をつけて、スパンと返してください。ここで味が出ます。
んで、メシをつぶさない程度にフライ返しなんかで鍋に押し付けてください。チャーハンを「振る」のはプロパン大火力を有する中華屋の特権です。「振れば振るほどチャーハンはまずくなる」と覚えて問題ありません。だってフライパンの温度下がるだけだし。加熱する時間が長くなればなるほど乾燥しちゃいますからね。パサつくと美味しくないですよね。
ここで魔法の粉(ダシパックの中身)をぶちまけます。「塩味が全然つかないからどんどん入れたら今度はクソしょっぱくなった!」ってよくあるじゃないですか。あれは「うまみが足りないから」です。うまみがなければ塩味は感じにくい。だったら、適当にうまみ入れりゃええねん、ダシパックの中身でいい。握りつぶしたカツオブシでもいいし、干しエビを刻んでもいい。ちりめんじゃこ、塩昆布なんかもいいですね~~。うまみが出る素材ならなんでもいいです。
チャーハンをご自宅で作るときに入れる具って、ベーコンとか刻んだウィンナー、チャーシューあたりですよね。あれでは「うまみ」が足りるわけがないんです。だからウェイパー(うまみを凝縮した中華調味料)とか入れるとうまいし、中華料理屋はグルタミン酸(化学調味料)ドサっと入れる。あれ「入れた方がうまいから」入れてるんですね。うまみが入ってればうまい。当たり前です。
はい、あとは玉子入れて切るように混ぜ(鍋はなるべく振らない、せいぜい2~3回)ればかなりちゃんとチャーハンになります。
仕上げに塩で味を調えて、仕上げに醤油を鍋肌にジャっと落として香りをつけます。間違っても「醤油で味をつけ」ようとしてはいけない。即死します。
醤油は「香りをつける」ものです。
「待て、醤油で真っ黒なチャーハン、うまいの知ってるぞ」
と言いたい各位。僕もその店のチャーハンは大好きですが、あれはさりげなく別の料理です。今回の話ではない。あれ難しいですよ。適当に醤油入れても絶対にできません。
さて、「メシにもうちょいパラ感が欲しい」と思ったときは、「飾り油」という素晴らしい中華のソリューションがあります。薫り高いゴマ油とか足すとパラ感が増し、香りもつき、カロリーも爆増します。素晴らしいですね。
んで、仕上げ寸前に青葱を入れ、こうなります。
「葱入れたら即盛り付け」と思っておいてください。葱がクタると変な匂い出ちゃうので。青みも悪くなるしね。ネギ系は「カリカリになるまで加熱する」と「サっと熱を入れるだけ」の両極が美味しい。中間はイヤな匂いを出したりします、気を付けましょう。完成。うまい。
これでは「パラパラ感が足りない」というお話でしたら、「最初に玉子混ぜとく」とか「水で洗う」とかそういうやり方もあります。でも、僕はそういうのどうでもいいと思います。だってこれジャポニカ米だし。パラパラチャーハン食いたかったらジャスミンライス買ってくればいいじゃん。パラッパラに仕上がるよ。あるいは最初からごはんに油入れて炊いてもいいです(エスニック料理屋のお米はわりとこれです)し、麦飯使ってもパラパラになりますね。食感もついて美味しいですよ。
玉子をメシに絡めてじっくり時間かけてパラパラに炒めたところで、出来上がるのなんてパサパサの卵で包まれた米のミイラですし。あんまりやらなくていいんじゃないかな、まぁ好みですけどね。
「しっかり炊き上がったお米を更に加熱する」チャーハンは、料理の原則で言えば「反則技」みたいなもんです。だから、「お米は卵の添え物」と考えて、油をしっかり吸わせてフワフワに仕上げると美味しく出来上がりやすいですね。卵っておいしいですから。
おじさんも、昔はこれで1人前だった。今は2人前なんだ……。もう35歳だね。でも、チャーハンは相変わらず美味しい。
・納豆に限らず、香ばしさを添える素材はあまりいじらずよく焼きこもう
・ご家庭チャーハンは振れば振るほどまずくなる
・チャーハンはうまみを足さないと不味い
この三点だけ覚えておけばいいと思います。
よきチャーハンライフを!!