サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(36)は昨年9月、リラックスしたムードを醸し出そうと海辺の宮殿で短パン姿になり、ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)との初会談に臨んだ。だが結局、2018年に起きたサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件を持ち出されたため、ムハンマド皇太子はサリバン氏を怒鳴りつけて終わった。皇太子はこの問題を二度と議論したくないとサリバン氏に告げたと、両氏のやり取りを知る複数の関係者は明かす。さらに、米国が原油増産を要請したことについては無かったことにするとサリバン氏に伝えたという。米国とサウジの関係はここ数十年で最悪の状態にある。ジョー・バイデン米大統領は2019年、カショギ氏殺害をはじめとする人権問題を巡って、サウジを国際社会で疎外される「パーリア国家」のように扱うべきだと発言している。