米国株、長期・分散積立投資なら大丈夫は本当か「ポートフォリオの価値減少を多少和らげたい方には幾つかの選択肢がある」 Photo: AP/AFLO

 つみたてNISA(積立方式の少額投資非課税制度)や確定拠出年金(企業型、個人型)で、世界株価指数、あるいは米国株価指数連動の投資信託の積立投資をする現役世代が増えてきている。証券会社のサイトで投資信託の売れ筋ランキングを見ると、米国株価指数と世界株価指数連動の投信が上位を占めている。

 筆者自身が米国株価指数S&P500に連動するファンドを初めてまとまった金額で購入したのは2006年だ。2008年のリーマンショックの暴落時には、「今こそ米国株式に投資する千載一遇の好機だ」と著作や講演の中で強調してきた。

 しかし当時は「米国マネー資本主義の終焉」など悲観的で俗流な言説が出回る中で、米国株投資を始めた日本人は稀(まれ)だった。その意味では、米国株価指数投資が大衆化し始めた昨今の変化には感慨深いものがある。

 各証券会社もサイト上に定額積立投資のシミュレーションなどを設けて、毎月の積立額と期待リターンを入力すると資産価値が複利で右肩上がりに増えていくグラフなどを表示している。しかし山あり谷ありが株価投資の現実であり、絵に描いた餅を見せられているようなものだ。

 とりわけ現状、米国株は久しぶりに本格的な反落局面にある(S&P500は高値から16.5%の下落、5月13日引値時点)。幸い米国株価指数連動投信は、為替ヘッジなしのものが多く売れているようなので、急速に進んだ円安・ドル高のおかげで円換算の資産価値の減少は軽微だ。

 しかし今後、再び米国が景気後退に向かいドル金利が低下する場合(あるいはついに日銀が金融緩和を修正する場合)、急速な円高・ドル安に転じる可能性が高い。「果たしてこのまま買い続けて良いのだろうか」と不安を感じている方も少なくないだろう。

 筆者自身は、株価収益率などの割安感からTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価指数連動の投信もポートフォリオに加えているが、今回は日本人が円資金による米国株価指数(S&P500)の積立投資で期待できる長期的なリターンとリスクは、果たしてどれほどなのか検証してみよう。