輸出数量は増えないのに「円安はプラス」と受け止める“秘密のメカニズム”異次元緩和で円高から円安へと流れを変えたアベノミクスの期間にも、円安は輸出数量を増やさなかった。それにもかかわらず、企業の利益は増えた。なぜ、こうした不思議なことが起きるのか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 20年ぶりの円安が進む中で、円安が輸出を増やす効果を失ったと言われる。

 しかし、異次元緩和で円高から円安へと流れを変えたアベノミクスの期間にも、円安は輸出数量を増やさなかった。それにもかかわらず、企業の利益は増えた。

 なぜ、こうした不思議なことが起きるのか?

円安はドル建て輸出を増やさず
アベノミクス時も増えなかった

「円安になれば輸出が増えるのだが、今回の円安局面では、円安が輸出を増やしていない。だから、今回の円安は従来の円安とは違って『悪い円安』だ」と言われる。

 円安が輸出数量を増やす効果がないことは正しい。しかし、それは今に始まったことではない。

 これまでも、円安が輸出数量を増やすことはなかった。

 アベノミクスが始まる前からそうだったし、アベノミクスの期間でも、円安にもかかわらず輸出数量は増えなかった。