ロシアによる侵攻で、ウクライナ情勢は緊迫した状況が続いている。侵攻前から始まっていた新型コロナウイルス感染拡大や、資源高などもあり、世界経済にも大きな影響をもたらした。こうした中で、変化に敏感な富裕層たちは何に注目し、どう動いたのか。実際の声を交えて解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
「脱ロシア」と「インフレ」が進む中
賢い富裕層はどう動いたのか
ロシアがウクライナに侵攻を開始してから2カ月が経過しました。いまだ収束の見通しは立たず、世界経済にも大きな影響を及ぼしています。今回のウクライナ侵攻により、世界経済では2つの方向性がほぼ確定したといえます。「脱ロシア」と「インフレ」です。
企業がサプライチェーン上でのロシア依存を回避しようとする動きだけでなく、資源供給、脱炭素の加速、ロシア金融市場からの資本流出など多くの意味で「脱ロシア」が加速しています。また、資源価格の高騰などを背景に、さまざまな国でインフレが進行。アメリカにおける3月のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年同月比8.5%と、約40年ぶりの高水準を記録しています。
こうした不安定な状況の中、豊富な資産を持つ投資家たちは現在の局面をどう捉えているのでしょうか。賢い富裕層たちは、すでに動きだしています。
今回は大地主や成功した企業家など、多額の資産を保有する富裕層の一部のリアルな声を交えて、彼らが何に注目し、どんな対策を打ち始めているのか、ポイントを解説します。