仮説その4:「日米家計のリスク性資産の保有比率の違いは、日米の資産分布格差の相違を反映している」

 日米の資産分布格差の相違に注目した説明である。これは筆者が2008年に日本金融学会春季大会で発表した説である(補注2)。日米ともに富裕層(高所得・保有資産大)ほどその金融資産全体に占めるリスク性資産の保有比率は高い。

 これは富裕層ほど資産価格の変動リスクに対する許容度が高いと考えれば当然のことだ。その結果、所得上位1%、あるいは10%への富の集中度が日本よりはるかに高い米国では、平均すると家計全体の高リスク資産保有比率が日本よりずっと高いものになる。

 仮説その5:「金融リテラシーの相違とバブル崩壊の履歴効果」

 「株式投資で成功するためには、適切な銘柄選びと投資のタイミング判断が必要だ。しかし私には分からないからできない」と依然多くの人が考えている。実はこれが最大の誤謬だ。

 逆に言うと、広範な株価を対象にした株価指数(インデックス)に連動した定額積立投資を持続すれば、自ずと20年~30年の長期では無リスクの資産に比べてリスクプレミアムの分だけ高いリターンが実現できる。配当は再投資して複利効果を出すのが重要で、投資期間は長ければ長いほど良い。これが求められている金融リテラシーの中核命題だ。

 もちろんリスク分散したポートフォリオでも、投資家は資産価値の高い変動リスクにさらされる。そうしたリスクの対価として長期では高いリターンが得られるわけだが、これは教育・学習・体験を経て分かることだ。実際、各種調査から金融リテラシーの相違がリスク性資産の保有の違いに影響していることが明らかにされている。

 ただし知識はテキストを読んだからといって直ぐ実践につながるものではない。株式投資が伴う資産価格の変動は、とりわけ株価が急落するような局面では心理的な恐怖を伴うものだ。そうした恐怖心を乗り越えて報われるという体験的な学習を通じて初めてリスク性資産への長期・分散投資の実践につながる。

 筆者自身、意識的・計画的な資産形成を始めたのは40歳を超えた1990年代末からであり、以来資産に占める預貯金比率は10~20%にとどめ、リスク分散された株式投資(途中からインデックス投資)と都心のマンション投資(借入レバレッジを利用)を継続してきた。その成果をここで誇示する気もないが、体験と検証に基づいて、長期での再現性が高く、最も万人受けの効率的な投資は、内外の株価指数連動ファンドを使った長期定額積立だと確信している(参照「米国株、長期・分散積立投資なら大丈夫は本当か」2022年5月23日)。

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新しい世代への期待

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