参院選は与党勝利で終わった。今後は、増税が議論されるようになるかもしれない。増税トピックスの一つである「金融所得課税」について詳しく解説するとともに、提言を行いたい。(経済評論家 塚崎公義)
選挙は与党の勝利
これからは増税の季節?
参議院選挙が与党勝利で終わり、これから増税の季節に突入するとの見方もある。その際に、金融関連で話題を呼びそうなのが、金融所得課税だ。
一般の所得税は累進課税なので、所得が高い人は税率が高い。所得税の最高税率は45%だ。地方税も課されることを考えると、高額所得者は所得の半分を税金として徴収されていることになる。
しかし、物事には例外がある。株の配当や譲渡益といった金融所得については、20%の税率を選択できるのだ。そのため、株の配当や譲渡益で何億円も稼いでいる人が、数千万円の給料をもらっている人よりも税率が低い、ということが起こり得る。
こうした状況を改善するために、金融所得に対する課税を強化しようといった提言がされてもおかしくない。具体的には、金融所得も給与所得などと合算して同じ税率で課税しよう、といったことになる。
問題は、それが「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」という政府の呼びかけに相反するように聞こえることだ。