写真:FRBの外観米連邦準備制度理事会(FRB)の外観 Photo by Takahisa Suzuki

ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長のタカ派発言を受けて、株価が大幅に下落するショックが起きている。これを受けて不安を抱える投資家も多いだろう。そこで今回は、株式投資家が現在、「短期」「長期」それぞれの視点で、何を期待して、どう行動したらいいかについて考えてみたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

パウエルFRB議長の講演で生じた
ジャクソンホール・ショック

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は8月26日(金曜)、注目の講演を行った。米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)の中で、経済活動の減速という痛みを伴ってもインフレの抑制を優先する姿勢を明示した。

 この講演を受けて、同日の米国株価は大幅安となり、ダウ工業株30種平均(NYダウ)で1000ドルを超える下げ幅を記録した。米国の株価が下がるとひとたまりもない日本の株価も、週明けの29日には日経平均株価の終値で700円を超える大幅安となり、終値は2万8000円を割り込んだ。

 この講演は、FRBの今後の金融政策について手掛かりが得られるかもしれないとの期待から、以前から注目されていたものだ。その場でパウエル氏は、「タカ派」(金融引き締めに対して強硬であること)のカラーを明確に出すことに集中した。通常は30分程度話すことが多いこの講演だが、同氏は何と8分にまとめて、印象が曖昧になったり、タカ派以外の解釈が拡がったりすることを避けた。