エヌビディア、新製品投入に間一髪の危機Photo:Justin Sullivan/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 トップの地位にあることは、常にいわれるほど良いことであるとは限らない。

 主にビデオゲームに使われていた画像処理装置(GPU)は現在、データセンターの人工知能(AI)機能を実現する高性能半導体として使用されている。その先駆的役割を果たしたのが米半導体大手エヌビディアだ。同社はその過程で自社の事業を作り変え、データセンター向け事業の本館的成長が始まった2006年以降に年間売上高で5倍以上の伸びを達成。また、半導体企業として時価総額世界一となり、年間売上高で同社より上位の半導体企業5社を時価総額で上回った。

 だがその地位も、ここ1カ月は大きな打撃を受けている。8月8日に発表されたエヌビディアの第2四半期(5-7月期)決算見通しとその2週間後に発表された同四半期決算ではいずれも、在庫の積み上がりと需要減により同社の事業が大きな打撃を受け、特に主要なビデオゲーム部門への影響が顕著だった。また、エヌビディアは先週、データセンター向け半導体の一部が中国で販売できなくなる可能性があると警告したため、事態はさらに悪化した。