英イングランド銀行(中央銀行)は28日、市場の安定化に向けて長期国債を緊急で買い入れると発表した。英国が金融と経済の危機を回避しようと努める中、リズ・トラス首相率いる新政権は一段の圧力にさらされている。英中銀が10億ポンド(約1570億円)規模の長期国債を購入するという想定外の動きを受けて、世界的に債券が買い戻され、債券価格は大幅上昇した。外国為替市場ではポンドが米ドルに対してわずかに上昇したが、ユーロに対しては弱含んだままとなっている。だが中銀介入は、市場の混乱が続くことで英国の金融システムと経済にもたらされるリスクを改めて浮き彫りにした。政府関係者は当初、1日か2日すれば市場は落ち着きを取り戻すと見込んでいた。だが、乱高下が1日また1日と続くたび、より広範な金融危機が発生して実体経済に打撃を与えるリスクは高まっている。政府が先週23日に大幅減税政策を発表してからの数日間、ポンド相場は急落し、英国の資産価格も大きく下落した。ポンド安で輸入品が一段と高くなることで、インフレは加速する。英中銀が大幅利上げに踏み切ることはほぼ確実視されており、そうなれば経済成長にとって大きな足かせとなる。