――筆者のカール・ローブ氏は、政治活動委員会「アメリカン・クロスロード」の設立に関わった。著書に「The Triumph of William McKinley(ウィリアム・マッキンリーの勝利)」(サイモン&シュスター2015年刊行)がある。
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米共和党の躍進を表す「赤い波」は来なかった。8日投開票の中間選挙の結果は、どちらかと言うとポタポタと水が垂れる感じに近かった。
本稿の執筆時点では、どちらの政党が下院で過半数を制したのかまだ確定していない。共和党が多数派となる可能性は大きいが、民主党との差は大きくない。中間選挙前の下院の勢力図は、民主党が222議席(うち空席2つ)、共和党員が213議席(うち空席1つ)だった。
AP通信によると、米東部時間9日午後4時の時点で、共和党は206議席を獲得し、さらに18議席を上積みする勢いだ。見通し通りなら、最終的に同党は224議席、民主党は211議席となる。投票日までの消印がある郵便投票を集計する必要があるため、結果の確定にはあと数日から1週間程度かかる可能性もある。
上院選では、アダム・ラクサ―ル氏がネバダ州で持ちこたえる一方、ブレイク・マスターズ氏がアリゾナ州で劇的な返り咲きを果たせなければ、共和党の獲得議席は50となる。そうなれば、どちらの党が上院の過半数を握るかは、12月6日にジョージア州で行われる決選投票で決まる。
次に知事選だが、中間選挙前には、共和党の知事は28人、民主党の知事は22人だった。アリゾナ州では共和党候補がリードを奪いそうだ。他の州での敗北を考慮すると、共和党候補がアリゾナ州で当選し、ネバダ州でも先行したまま勝利する一方、オレゴン州ではわずかな差を埋められないとすれば、勢力図は共和党28人、民主党22人と、選挙前と変わらないことになる。共和党候補はメリーランド州とマサチューセッツ州で、交代する同党現職知事の後を引き継ぐことができなかった。