いまや日本円の価値は下がり、日本経済の成長も長期的には期待薄……。米国経済も、Twitter、Meta(Facebook)、Amazon、HPとリストラを実施する大手企業が続々と増え、いっときの“米国株ブーム”は過ぎ去った。そこでいま注目されるのが「グローバル投資」だ。米国の富裕層の間では、米国以外の海外資産を組み入れるグローバル投資の動きが、以前にも増して加速しているという。
日本と海外の投資・経済を知り尽くした金融マン待望の初著書
『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)では、富裕層がやっているイギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スイス・インド・チリ・台湾などへの国際分散投資法を、一般の個人投資家に向けてわかりやすく解説。投資バランスは「保守:積極:超積極=5:3:2」、1銘柄の投資額は資産全体の4%以内で、資産全体の2割は現金買付余力に――など、SBI証券や楽天証券などでも実践できる内容で、「これならできそう」「続けられそう」と思えるグローバル投資の秘訣を明かした1冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、グローバル投資の極意を伝授する。

【シン富裕層のお金の増やし方】<br />日本の個人投資家こそ「グローバル投資」が欠かせない根本理由イラスト:ヤギワタル

“デフレスパイラル”からの
価格高騰&円安のダブルパンチ

【前回】からの続き インフレ傾向は、日本でも顕著になっています。日本は、1991年のバブル経済崩壊以降の「失われた30年」の間、物価が下がり続ける“デフレスパイラル”に陥りました。よくいえば、「生産性が向上した結果、モノの値段が下がり続けた」ということもできます。

日本のデフレの評価はさておき、事実として商品やサービスの値段が下がり、企業の売上高は伸びず、賃金も上がらず、消費マインドは冷え込む……という悪循環から30年もの間、抜け出せなかったのです。

そんな日本も、いまは“物価高”に直面しています。生活に欠かせない食料もエネルギーも輸入に頼らざるを得ないのに、「価格高騰」と「円安」のダブルパンチによって輸入コストが上がっているのです。

“二重苦”の日本こそ
グローバル投資が必要

デフレからインフレへの転換は、日本銀行の黒田東彦総裁の下で行われてきた物価2%上昇を目指すインフレーション・ターゲット(インフレ目標)という金融政策にとって悲願だったはず。しかし、このところは景気後退とインフレの同時進行(スタグフレーション)の色合いが強まりました。

要するに、企業の業績は上がらず、需要が増えず、賃金も上がらない“悪いインフレ”の側面が色濃く出てしまったのです。なにをいいたいのかというと、「インフレ」と「円安」という二重苦に悩まされている日本の個人投資家こそ、グローバル投資が欠かせないということです。

世界の人口動態の変化や気候変動への対応といった視点をもった長期的投資を実践することで、目先の「インフレ」や「円安」といった特定の国に固有する事象になるべく左右されないようにするためにこそ、グローバル投資が欠かせないのです。 【次回に続く】

※本稿は、『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』より一部を抜粋・編集したものです。