イーロン・マスク氏は時としてこんな風に見える――もしベンチャー資金を得たシリコンバレーの技術者が、研究室の中で人間を構築する方法を見つけたならば、きっと彼のような人間を作り出すだろう。オタクっぽい情熱を傾け、大胆な革新者として次から次へと産業を破壊していくのだ。だがここにきてシリコンバレーの投資家やリーダー、評論家の間で、IT(情報技術)業界の富豪の象徴であるマスク氏に対する見方が大きく割れている。さまざまな見方はマスク氏自身や業界の現状を浮き彫りにしている。ツイッターのオーナーおよび自称「チーフ・ツイット」(ツイッターの経営トップ)に就任したマスク氏の慌ただしい在任2カ月間は、IT業界のエリートの間に文化的な断層を生み、旧来の支持者の何人かが遠ざかる一方、新たな結びつきも築くことになった。両陣営の一部に共通する感覚は、マスク氏のツイッターの実験が、IT企業の経営方法に重要な長期的影響を与えるかもしれないという点だ。世界有数の影響力あるソーシャルメディア・プラットフォームが社員の大半を解雇し、一連の抜本的改革と少なからぬ失敗を犯した後に、果たして生き残れるのか、業績を立て直せるのかどうかに、多くのことがかかっている。