道内各エリアの公立進学校

 札幌市以外の公立進学校はどのような状況にあるのか。5位は旭川東である。旭川市にも東西南北を冠した道立高校があり、10位旭川北、17位旭川西、39位旭川南とベスト40内にそろっている。いずれも上川南学区で、同じ学区では他に32位富良野がある。旭川医科大の合格者は、旭川東を筆頭に、地元勢がやはり多くを占めている。

 6位帯広柏葉(十勝学区)、7位の函館中部(渡島学区)と室蘭栄(胆振西学区)、11位北見北斗(オホーツク中学区)、14位釧路湖陵(釧路学区)、16位小樽潮陵(後志学区)、19位岩見沢東は(空知南学区)、23位滝川(空知北学区)、27位苫小牧東(胆振東学区)、32位網走南ケ丘(オホーツク東学区)、35位静内(日高学区)、40位名寄(上川北学区)は、いずれもそれぞれの学区のトップ校として長らく君臨している名門校だ。

 とはいえ、地域の人口減と経済力の低下が進学校としての合格力にも影響を与えている。32位以下は北海道大の合格者がいない。早慶上理への合格者も皆無で、道外に進学することもままならない様子がうかがえる。

 こうした状況に地元の教育関係者からは、「優秀な人材はどんどん東京に行くだろう。道内は残された者でなんとかするしかない」といった声を聞く。釧路湖陵では生徒の進路のために東京や関西から大学を呼んだ個別相談会を釧路江南と共催する。釧路湖陵には、釧路周辺から親元を離れて下宿して通う生徒もいる。

 高校時代から地元を離れてより良い教育を求める状況にある。そもそも釧路に自宅があっても自宅から通える道内の大学はわずかであり、道内であっても下宿して大学に通うことになる生徒が多い。高校生の頃から実家を離れることに躊躇しないため、東京や関西の大学を紹介するのだが、地元経済の冷え込みから経済的な負担が大きい道外への進学には二の足を踏んでいる。

 19ある道立高校の学区のうち、ベスト40内に一つも入らなかった学区としては、江差町などの檜山学区、留萌市などの留萌学区、稚内市などの宗谷学区、紋別市などのオホーツク西学区、根室市などの根室学区の五つが挙げられる。ここに、32位以下のオホーツク東学区、日高学区、上川北学区が加わる日も遠くはなさそうで、地域から公立進学校がなくなっていくことの意味をかみしめる必要がある。札幌市などの人気校は募集人員が8クラス320人のところが普通だが、過疎地域では多くて200人、3クラス120人という学校も珍しくはない。

 男女寄宿舎を設け、道内全域から生徒を募集している道立校が、2007年開校の25位登別明日中等教育学校である。募集人員は80人と限られ、進学実績にも特筆するものはない。北海道教育委員会の学校教育局には、学力向上推進課が設けられているが、道内過疎地域の生徒に対して他にどのような打つ手があるのだろうか。

 高校等進学率こそ98.9%(2021年)と全入状態だが、大学等進学率は道内平均で48.2%にすぎない。エリア間格差は著しく、札幌市の59.9%は別格で、それに次ぐ人口規模の旭川市でも49.5%にすぎない。郡部は平均27%しかなく、一桁の町村も珍しくない。こと進学を考えれば、札幌市に住まざるを得ないという状況が、今後も強まっていくだろう。

※次回に続く

【訂正】図1、図2「参考:主要大学合格者数」の大学名欄、初出時「東京大」「国立10大」「早慶上理」「MARCH」を、「東京大」「北海道大」「国立10大」「早慶上理」にそれぞれ訂正いたします。
(2023年3月8日 15:41 ダイヤモンド社教育情報)
【訂正】 本文第5段落、初出時『(現・北海道小樽湖陵高校)』、本文第21段落、初出時『16位小樽湖陵(後志学区)』を、『(現・北海道小樽潮陵高校)』『16位小樽潮陵(後志学区)』にそれぞれ訂正いたします。
(2023年3月3日 9:25 ダイヤモンド社教育情報)