首都圏で最もランクが高かったのは、中高一貫女子校である桜蔭(東京・文京区)だった。工事中の新校舎は2023年秋完成予定

私立中高一貫校がランキングを席巻

 この合格力ランキング算出の対象となるのが、国公立大の医学部医学科のため、私立医科大が集まり、そこに流れる傾向のある首都圏が不利となる。また、卒業生数の多い学校もこのランキングの上位には入りづらい。1学年400人前後の、地元の国立大中心に合格実績を重ねる地方の名門公立進学校も同様だ。その結果、同200人前後の私立や国立の中高一貫校がランキング上位に名を連ねることになる。

 公立中高一貫校の場合は、東京が典型だが、エリア(学区)二番手校に中学を付設したり中等教育学校に改組した例が目立つ。つまり、従来も医学部医学科への進学者数は必ずしも多くはないため、ランキングの上位にはなかなか顔を出さない。もっとも、茨城のように県立進学校を丸ごと中高一貫化するような動きもあるため、今後徐々にランキングに出てくる公立一貫校も見られそうだ。

 2022年のベスト10は、2校を除き、この3年内にベスト10に入った経験のある学校がそろう。つまり、比較的安定しているのだが、今回のトップはイレギュラーな結果となった。全国的な知名度はほぼ皆無である中等教育学校のリンデンホールスクール中高学部(以下、リンデン)が1位となっている。

 太宰府に近い福岡県筑紫野市にあるリンデンは、国語以外のすべての授業を英語で行うイマージョン教育を導入、国際バカロレア(IB)認定校でもあり、新しいタイプの教育実践校である。先にイレギュラーと言ったのは、卒業生が5人で、その内2人がランキング対象大学に合格したためである。

 その意味で、実質的な1位は北嶺(札幌市清田区)である。寮制の私立中高一貫男子校で、「国公立100大学」でも道内2位になるなど、北海道の私立進学校のトップに君臨している。卒業生数は120人に欠けるくらいで、リンデンと共に今回初めてベスト10入りした9位金沢大学附属も同様の少数精鋭校である。北嶺は卒業生の4割、金沢大学附属は同じく3割弱が国公立大医学部医学科に合格している。

 3位から先には、ベスト10常連校が並んでいる。3位ラ・サールも寮制の中高一貫男子校で卒業生は200人強、4位東大寺学園も男子校で22年の「国公立100大学」では全国1位となっている。5位久留米大学附設は21年1位で、6位灘は20年1位だった。灘と同じく兵庫県にある7位甲陽学院と、ここまでは200人前後の卒業生数である。

 昨年解説したように、21年の久留米大学附設は、対象となる合格者数合計が65人から90人に増えての1位だった。ところが22年は、64人と20年水準に戻ってしまったことがランクダウンの主因となる。

 8位東海は、学年定員が450人ほどの大規模校で、ランキング上位では例外的な存在だ。それだけ医学部医学科に進む卒業生が多いわけで、名古屋大37人ほか国公立大の合格者数が合わせて123人とずぬけている。私立大医学部医学科にも122人が合格しており、これは東京にある女子校の12位桜蔭(116人)や27位豊島岡女子学園(177人)に比肩するくらいの実績と言える。

 10位には、例年10位前後に位置している2校が並んだ。長崎の青雲と沖縄の昭和薬科大学附属は、いずれも対象となる合格者数が卒業生の4人に1人程度と医学部志向の強さをうかがわせる。