いきなり!ステーキPhoto:Diamond

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は王将フードサービス、コメダホールディングスなどの「専門飲食店」(中華料理・カフェ・定食など)業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

外食4社が復調の一方で
ペッパーフードは「独り負け」

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「専門飲食店」(中華料理・カフェ・定食など)業界5社。対象期間は2022年8~12月の四半期(コメダホールディングスとハイデイ日高は22年9~11月期、その他3社は22年10~12月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・王将フードサービス
 増収率:7.3%(四半期の売上高239億円)
・コメダホールディングス
 増収率:14.2%(四半期の売上収益94億円)
・ハイデイ日高
 増収率:40.4%(四半期の売上高100億円)
・大戸屋ホールディングス
 増収率:20.2%(四半期の売上高64億円)
・ペッパーフードサービス
 増収率:マイナス27.4%(四半期の売上高38億円)

「専門飲食店」業界では、ハイデイ日高が4割超、大戸屋ホールディングスが2割超の大幅増収を達成した。コメダホールディングスも2桁増収で着地し、王将フードサービスも増収を果たした。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う大減収からの反動増や、原材料価格の高騰を踏まえた「値上げ」の影響には注意が必要だが、4社の売り上げが着実に回復しているのは確かなようだ。

 一方で、いきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービスは不振が続いており、分析対象とした5社の中で唯一の四半期減収となった。22年12月期の通期決算では最終赤字に転落し、同社の決算短信には経営危機に陥っていることを示す「疑義注記」が引き続き記されている。

 ペッパーフードサービスでは前回の記事で扱った四半期(22年7~9月期)の22年8月に、経営不振の責任を取って一瀬邦夫氏が社長を辞任。後任として、長男の一瀬健作氏が副社長から昇格した。

 今回扱う四半期(22年10~12月期)からは新体制下でメニュー改定などの施策を展開しているが、目立った成果が出ているとは言い難い。

 不振にあえぐペッパーフードサービスの利益面と、その元凶である「いきなり!ステーキ」事業はどのような状況にあるのか。

 次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、ペッパーフードサービスの業績について詳しく解説する。