すき家Photo:Diamond

新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

牛丼は続々値上げ
すき家は牛丼以外も好調

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は2022年8~12月期の直近四半期​​(ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは22年10~12月、吉野家ホールディングスは22年9~11月)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ゼンショーホールディングス(すき家)
 増収率:15.5%(四半期の売上高2035億円)
・吉野家ホールディングス
 増収率:9.5%(四半期の売上高429億円)
・松屋フーズホールディングス
 増収率: 10.5%(四半期の売上高278億円)

 牛丼3社全てが増収だが、中でもゼンショーホールディングスが15%を超える高い増収率だった。同社はハンバーガーチェーン「ロッテリア」の買収にも踏み切り、今後のさらなる伸びが期待される。

 ただ、外食業界は、原材料費や光熱費などの高騰の影響を受けておて、各社が値上げに踏み切っている。それらの影響は今どうなっているのか。

 そして実は、そうしたコスト増とは別の特殊事情によって、牛丼3社は「大減益」に陥っている。そして、この大減益は前四半期には見られなかったものだ。その要因とは何なのか。

 次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、それらを詳しく解説する。