Photo:PIXTA
2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングス、MS＆ADインシュアランスグループホールディングスの「損害保険」業界3社について解説する。（ダイヤモンド編集部 笠原里穂）
損保各社が大幅増益！
その理由とは？
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「損害保険」業界3社。対象期間は2023年8～12月期の四半期（3社の対象期間はいずれも23年10～12月期）としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・東京海上ホールディングス
増収率：5.8％（四半期の経常収益1兆8905億円）
・SOMPOホールディングス
増収率：7.6％（四半期の経常収益1兆1890億円）
・MS＆ADインシュアランスグループホールディングス
増収率：11.3％（四半期の経常収益1兆3192億円）
損保業界の主要3社はいずれも前年同期比で増収だった。
増収率も好調な3社だが、直近の決算について見ていくと、いずれも利益を大きく伸ばしていることが分かる。
24年3月期第3四半期累計の純利益は、東京海上ホールディングスは前年同期比8割増、SOMPOホールディングスは大幅な増加で黒字転換、MS＆ADインシュアランスグループホールディングスは前年同期の約2倍だ。
各社の利益が大きく伸びた要因は何だったのか。また今後、損保3社の業績をウオッチしていく上で注視すべきポイントとは何か。
次ページでは、増収率の時系列推移を紹介するとともに、各社の業績を詳しく解説する。
