2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキヤノン、ニコンなどの「カメラ/光学/複合機」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
富士フイルムは過去最高業績なるか
ニコン、HOYAは利益面に影
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のカメラ/光学/複合機業界4社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(4社の対象期間はいずれも23年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・キヤノン
増収率:0.6%(四半期の売上高1兆1637億円)
・ニコン
増収率:17.8%(四半期の売上収益1976億円)
・HOYA
増収率:12.3%(四半期の売上収益1948億円)
・富士フイルムホールディングス
増収率:3.0%(四半期の売上高7669億円)
カメラ/光学/複合機業界4社はいずれも前年同期比で増収となった。富士フイルムは3.0%の増収にとどまったが、四半期売上高は最高を更新し、通期でも過去最高の業績を射程圏内に入れている。さらに、キヤノンを除く3社のセグメント別売上高を見てみると、医療関連部門が好調なのが分かる。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、売上高・利益面を解説する。