2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
日本製鉄は前年同期比増収
JFEホールディングスは減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界4社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(4社の対象期間はいずれも23年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・日本製鉄
増収率:6.8%(四半期の売上収益2兆2294億円)
・住友金属鉱山
増収率:0.8%(四半期の売上高3679億円)
・ミネベアミツミ
増収率:2.6%(四半期の売上高3812億円)
・JFEホールディングス
増収率:マイナス4.1%(四半期の売上収益1兆2892億円)
製鉄/金属製品業界の4社では、日本製鉄、住友金属鉱山、ミネベアミツミの3社が前年同期比で増収となった。一方で、JFEホールディングスは唯一、減収だった。
鋼材市況は厳しい状況が続いている。業界団体である日本鉄鋼連盟の発表によれば、2023年の国内における粗鋼生産量は、8699万6000トンで前年から2.5%減少した。
国内の鉄鋼需要は、自動車向けの回復があるものの、全体としては減少。海外の需要は、前年比では増加したが、中国の不動産不況の影響もあり厳しい状況には変わりない。24年も23年並みの市況が予測されている。
こうした中、主要企業の増収率はどのように推移しているのか。また昨年12月、米鉄鋼大手USスチールの買収を発表した日本製鉄の足元の業績はどうか。次ページで詳しく解説する。