これらの数値は世界肥満連合(WOF)が『世界肥満アトラス2022』で示した、2030年までに世界の肥満者数が10億人に達するとの予測値を上回るものだ。今回のEzzati氏らの研究によると、この『世界肥満アトラス2022』が発行された時点で、すでに世界の肥満者数はこの数値を超えていたことになる。

 WOFは、遺伝的要因や生物学的要因、ヘルスケアへのアクセス、必須栄養素が不足した高カロリー食品の普及など、世界には肥満を引き起こすさまざまな要因が存在すると説明している。

気候変動やウクライナ戦争…
肥満と低体重の両方を悪化させる理由

 さらに研究者らは、地球規模の問題が肥満と低体重の両方の状況を悪化させる可能性に懸念を示している。マドラス糖尿病研究財団(インド)のGuha Pradeepa氏は、「気候変動や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる混乱、ウクライナ戦争などの問題が貧困を拡大し、栄養価の高い食品のコスト上昇を招くことで、肥満と低体重の割合の上昇をもたらす危険がある」とICLのニュースリリースの中で指摘している。

 同氏は、これらの出来事が「一部の国々で家庭での食料不足を招き、また他の国々では非健康的な食品へのシフトをもたらす一因となっている」と説明。その上で、「より健康的な世界を実現するためには、これらの問題に対処するための包括的な政策が必要だ」と述べている。

 一方、世界保健機関(WHO)事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus氏は、「今回の新たな研究によって、食事、身体活動、必要に応じた適切なケアを通じて、幼少期から成人期にかけての肥満を予防し管理することがいかに大切であるかが浮き彫りになった」と話す。

 また、「肥満削減という世界的な目標の達成に向けて正しい道を進むためには、WHOと各国の公衆衛生機関によるエビデンスに基づいた政策で支えられた、政府と地域社会の取り組みが必要」と指摘し、「重要なことは、民間セクターの協力が必要だということだ。民間セクターは、自社製品が健康に与える影響について説明責任を果たさなければならない」とする見解を示している。(HealthDay News 2024年3月1日)

https://www.healthday.com/health-news/general-health/over-1-billion-people-are-now-obese-worldwide

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