「顔合わせ」のはずが
「鶴の一声」で逆転
確かに企業によっては、人事が「最終面接は社長との顔合わせの場です。採用・不採用はその前の段階で決まっています」と述べる例がまれにあります。冒頭で述べた定説も、全てが間違っているわけではありません。
ところが、そんな一見すると優しい会社でも、社長が人事の判断を覆し、「鶴の一声」で候補者を落とすケースがあります。その理由は、社長が「現場社員とは別の視点」で候補者をジャッジしているからです。
社長が重視する視点とは「カルチャーフィット」。すなわち候補者の価値観と、企業の文化・社風との相性です。
たとえ求めるスキルや経験と合致している人材でも、カルチャーフィットの面が不十分であれば、メリットよりもデメリットの方が大きくなりかねない――。経験を積んだ経営者は、このことを熟知しているのです。
特に従業員数が100人以下のスタートアップや中小企業であれば、採用するのが1人でも周囲に悪影響を与える可能性があります。1000人以上の大企業であっても、ポジション次第ではやはり、たった一人でも悪影響を与えるでしょう。
こうした事態を、経営者は未然に防ぎたいと考えているのです。
経営者がカルチャーフィットにこだわるのは、ある程度経験を重ねた経営者の大半は、過去に採用で痛い目にあっているからです。
経営者も一人の人間。数々の最終面接を行うなかでは、「現場がOKを出しているから大丈夫だろう」と安易に判断するケースがあります。
「優秀そうに見えるけれど、どこか胡散臭いな…」「この人が言っていることは本当だろうか…」と疑念が浮かんでも、目先の欲に目がくらんで採用してしまうこともあります。
「この人を採用したら、前職からお客さんを連れてきて売り上げが増えそうだ」
「進捗が遅れているプロジェクトも、経験豊富なこの人に任せればすぐ立ち上がりそうだ」
これらが目先の欲の代表例です。



