目先の欲にかられて
「合わない候補者」を採用した末路

 ところが、そこには落とし穴があります。候補者の性格や価値観を細かくジャッジできていない場合、採用後の働きが期待外れに終わるだけでなく、組織をぐちゃぐちゃにかき回されたり、ひどい時にはクーデターを起こされたりすることがあるのです。

 最近は企業のハードシングス(=業務上の困難)をテーマにした書籍がたくさん出版されていますが、その多くは「人」の問題で引き起こされています。部下が結託して不正を働いたり、社長に反旗を翻してきたり――といったことが実際にあるのです。

 これらを食い止めようとして問題社員の解雇を試みると、当然のごとく係争に発展します。労働組合を巻き込んだトラブルになり、事業の進捗に影響するかもしれません。採用の失敗をきっかけに、組織のマネジメント体制やガバナンスが「崩壊の危機」に追い込まれることは珍しくないのです。

 また、どんなに優秀な人材であっても、企業文化と合わなければ摩擦が生じ、事業が停滞する原因となります。厳しい競争環境のなかで、ハードワークによって事業を成長させている企業に、たとえ能力が高くても「ワークライフバランスをかなり重視する人」が入社しても活躍できないのは自明です。

 企業側がそこに目をつぶって採用してしまうと、この候補者は活躍できないばかりか、心身に不調をきたしてしまうかもしれません。そのリスクを無視して責任者に据えてしまうと、事業展開のスピードが落ち、競合他社に劣後する恐れもあります。

 これはどちらか一方が悪いわけではなく、相性の問題です。「ワークライフバランスをかなり重視する人」は「短時間で効率よく働き、成果を出す」ことを重視する企業のほうがフィットするのは言うまでもありません。

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社長に聞いてはいけない「最悪の逆質問」

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