中国の不動産危機はどこまで悪化し得るのか。その答えを求める投資家にとって、経営悪化に苦しむ中国南部の不動産開発会社はリトマス試験紙になっている。万科企業は中国の不動産セクターの低迷を乗り切った大手企業の一つだ。格付け会社S&Pグローバル・レーティングによると、不動産危機によってデフォルト(債務不履行)した不動産会社のドル建て債は1400億ドル(約21兆8000億円)に上る。未完成の住宅も数百万戸あり、世界第2位の規模を誇る中国経済の落ち込みへの警戒感が高まっている。万科は最盛期には年間で約970億ドルの売上高を上げていた。同社はこれまでのところ、デフォルトは何とか回避しているが、厳しい状況にある。トレードウェブによると、万科のドル建て2027年償還債は今月9日の時点で、額面1ドル当たり0.48ドル程度で取引されていた。香港市場上場の同社株はこの1年で3分の2値下がりした。