米国で政治的な明暗がこれほどはっきり分かれるのはまれだ。暗殺を免れ、血まみれになりながらも拳を突き上げるドナルド・トランプ前大統領の画像が拡散されたのに対し、ジョー・バイデン大統領は頭脳の明晰(めいせき)さや大統領選を戦えるかが問われ続けている。 ペンシルベニア州西部で13日、トランプ氏に対する暗殺未遂事件が発生した。大統領選はただでさえ波乱含みだったが、この衝撃的な混乱(そして、それがもたらした不安や怒り、イメージ)によって選挙戦の形勢に変化が生じるのは確実だ。少数の有権者が心変わりしただけでも決定的な影響が出かねない。 ミルウォーキーで今週開催される共和党全国大会を前に、トランプ氏の支持者は政治的な攻撃に対して非難を強め、同氏が米国民に代わって銃弾を受けたと主張している。複数の刑事裁判を抱える中でもトランプ氏を支持していた共和党員は銃撃事件の発生直後、支持をさらに強めているようだ。民主党員から目立った発言はほとんどなく、事件を非難し、平静を呼びかける以外、大統領選についてはほとんど発言していない。