三菱商事と双日の格差800万円
高給故に適切な人材確保も課題に

 下図は七大商社の23年度平均年間給与額をランキングしたものである。

 首位は三菱商事で、平均年収が唯一2000万円を超えた。23年度は純利益額で三井物産に抜かれたが、その三井には200万円近い差をつけた。

 ここで、10年前の平均年収と比較してみよう。

 各社とも増加しており、その額が多いのは順に三菱商事735万円、三井物産548万円、住友商事454万円、丸紅380万円、伊藤忠商事370万円、豊田通商221万円、双日195万円となっている。

 やはり、資源価格高騰の恩恵を大きく受けた財閥系商社の伸びが目立つ。

 ここで明らかになったのは、トップの三菱と最下位の双日との差である。10年前の両社の年収差は300万円ほどだったが、23年度は800万円強まで広がった。

 全体的に好況とみられる総合商社の間でも、年収の格差は大きくなっているのだ。

 高額報酬ならではの悩みも浮き彫りになりつつある。

 これだけ好待遇とみられる総合商社でも、毎年100人単位で自己都合退職者が現れている(詳細は、特集『戦時の商社』#9『高給の総合商社から毎年100人が辞める理由とは?退職者が本音を暴露「ぶっちゃけ」座談会』参照)。

 複数の商社関係者の話をまとめると、優秀なデジタル人材や、起業家精神に富む野心的な社員は、風通しの良いスタートアップ企業や、年功序列ではなく若いうちから高給を得られる外資系企業に移ってしまうという。

 大企業で一人一人の裁量が比較的少ない総合商社よりも、自らの能力や存在価値を認めてくれる職場の方が魅力的に映るようだ。

 また、ある財閥系商社の社員は「最近は資源開発で中東やアフリカに駐在したいと手を上げてくれる人材が昔より少ない」と嘆く。

 総合商社の若手社員でも、発展途上国で泥くさく働くことや、家族と離れ離れになるのに抵抗を感じるらしい。

 加えて、高給取りのイメージが独り歩きしている状況も出てきている。

 来年から財閥系商社に入る都内のある大学4年生は、将来の大学院進学を見据えて給与の高い総合商社を選んだという。

 「3年働いて貯蓄して、米国か英国の大学院へ進学したい。申し訳ないが、商社の仕事のイメージはあまり湧いていない」と打ち明ける。

 総合商社での仕事に強い熱意があるわけではなく、商社のブランドや給与水準に対する憧れだけで入社する若者が少なくないのだ。

 ある財閥系商社の幹部は「高収入を目的にうちの扉をたたく人間は求めていない」と断じている。

 総合商社は、チャレンジ精神に富む人材を確保し続けられるか。今後、ランキング下位の総合商社が、賃上げだけでなく、働き方改革や人材教育を実行できなければ、上位陣との格差は開く一方になるだろう。

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