Photo by Norihiro Okawa
三菱商事と伊藤忠商事がそれぞれ傘下に持つコンビニ2社が激しい「業界2位争い」を繰り広げている。直近の通期決算では、ローソンが全店平均日販(1日当たりの1店舗の売上高)でファミリーマートを逆転した。好調の裏には、三菱商事が共同経営パートナーに招いたKDDIの存在が大きい。対する伊藤忠・ファミマ陣営も自前のデータ基盤を活用し、小売業の枠を超えたビジネス拡大を狙う。長期連載『クローズアップ商社』内の特集『三菱商事「最強伝説」の終焉』の#11では、両陣営のコンビニ戦略を徹底比較。単独での事業変革の限界を露呈した三菱商事の存在意義が問われる中、商社の力量が試される海外展開の行方にも迫る。(ダイヤモンド編集部 大川哲拓)
デジタル技術で小売業の枠を越えられるか
ローソン、ファミマが描く次世代コンビニの姿
全国に約5万6000店がひしめくコンビニエンスストア。以前は単に「商品を売る場所」だった空間が、今やデジタル技術によって全く別の価値を生み出す装置へと変貌しようとしている。
「これまでは『実店舗で何を売るんですか』『店舗を増やさないと駄目ですよね』とよく言われました」「しかし今では、店舗のネットワークを活用しながら、その上に機能を拡張し、増幅するフェーズに入ったとわれわれは考えています」
ファミリーマートが2026年2月に開いた戦略説明会で、当時の細見研介社長(現・伊藤忠商事第8カンパニープレジデント)は、そのように力説。店舗内のデジタルサイネージ広告など、購買データを活用したリテールメディア事業を業界王者のセブン-イレブンなどに先駆けて展開し、コンビニの新たな稼ぎ方を実現しつつある。
対する三菱商事・ローソン陣営は24年に、通信大手のKDDIを共同経営パートナーに迎え入れ、セルフレジ操作の遠隔支援や調理ロボットなどのデジタル技術をフル活用した「未来のコンビニ」の実現を推進。足元の業績は好調で、中長期的には街づくり構想「ハッピー・ローソンタウン」を掲げ、店舗を核として地方創生や地方の課題解決を推進する構えだ。
コンビニの国内総店舗数が頭打ちで“飽和説”が繰り返し唱えられる中、もはや、これからの成長の鍵は、全国に張り巡らせた店舗という「リアルのインフラ」にデジタル技術を掛け合わせ、いかに新たな付加価値をつくり出せるかにある。三菱商事としては、自力での変革に行き詰まりKDDIとの共同経営にかじを切った今、ローソン事業を手掛ける意義を示せるか正念場を迎えているといえよう。
また、国内市場が頭打ちとなる中、次の主戦場は海外へと移っている。未知の市場で「水先案内人」となる商社の力量が問われる領域でも、ローソンがファミマを猛追するなど火花を散らしているのだ。
次ページでは、ローソンが店舗の“実力”でファミマを逆転できた理由や、両社のデジタル戦略をひもときつつ、商社の“腕の見せどころ”である海外進出の行方も占う。







