三菱商事の中西勝也社長、ローソンの竹増貞信社長、KDDIの高橋誠社長業務資本提携を発表した三菱商事の中西勝也社長(左)、ローソンの竹増貞信社長(中央)、KDDIの高橋誠社長=2月6日午後、東京都千代田区 Photo:JIJI

三菱商事と通信大手のKDDIは2月6日、ローソンを非上場化し、折半出資による共同経営を行うと発表した。ローソンは三菱商事の連結子会社から、持分法適用会社になる。これは、ファミリーマートを完全子会社化した伊藤忠商事とは真逆の“選択”をしたことを意味する。三菱商事がローソンを遠ざけた真意とは。 (ダイヤモンド編集部 猪股修平)

「未来のコンビニ」目指すも
KDDIとシナジーを生めるかは不透明

 KDDIがローソンに対する株式公開買い付け(TOB)を電撃的に発表した2月6日、100人以上の記者が三菱商事ビル3階の会見場に集まった。そこで、KDDIの高橋誠社長は高らかに宣言した。

「通信、DXの力をフル活用して、未来のコンビニエンスストアを実現していきたい」

 KDDIは、約4971億円を投じるTOBでローソン株式の半分を取得する。これによりローソンは、三菱商事とKDDIによる共同経営体制(両社の持ち分比率は50%ずつ)に移行する。

 高橋社長は会見で「三菱商事と主導権争いをするということではない」と明言。ローソンの社長は引き続き三菱商事の出身者が務め、KDDIは伴走するパートナー役を果たすという。KDDIは新たな親会社として、技術を生かしてローソンをアップデートすることを目指す。

 他方、従来の親会社である三菱商事には手詰まり感があった。2017年にローソンを子会社化し、売り場改革を行ってきたが、日販(店舗当たりの1日の売上高)などで王者セブン-イレブンの背中は遠いままだった。

 結果的に、三菱商事は、ファミリーマートを完全子会社化した伊藤忠商事とは全く異なる道を選ぶことになった。

 次ページでは、三菱商事と伊藤忠のコンビニ事業を比較するとともに、三菱商事が、ローソンを共同経営するパートナーとしてKDDIを招き入れたことの真の狙いを解明する。