今年に入り、三菱商事の新陳代謝が著しい。子会社ローソンを非上場化し、通信大手KDDIと共同経営すると電撃的に発表したのが2月初頭のこと。さらに同月末、日本KFCホールディングスの全保有株式売却を検討中ということが明らかになった。前社長時代のレガシーを排除していく「脱垣内イズム」が鮮明になりつつある。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)
ローソン、KFCのみならず
独裁的なマネジメントも見直し
KDDIとのローソン共同経営を発表した2月6日、三菱商事本社の会見場で中西勝也社長は「当社だけでローソンの企業価値を上げていくのは限界があった」と胸の内を明かした。
これは、中西氏の本音を表す象徴的な発言として報道でも取り上げられた。それから1カ月もたたないうちに、三菱商事による日本KFCホールディングス(KFC)株式売却の検討が報じられた。一連の事業ポートフォリオの見直しには、ある共通の方向性がある。
それは、中西氏の前任の社長である垣内威彦氏(現会長)が押し進めてきた食品やコンシューマービジネスへの傾斜配分を、中西社長が是正する「脱垣内イズム」だ。
次ページでは、垣内時代に積み上げられたレガシーを、中西氏が打ち消していく三菱商事の今を分析していく。