社長就任後、初めての決算会見に臨む住友商事の上野真吾社長社長就任後、初めての決算会見に臨む住友商事の上野真吾社長 Photo by Shuhei Inomata

七大総合商社の2023年度通期決算が出そろった。各社が過去最高益に沸いた22年度決算と同等かそれに次ぐ結果をたたき出す中、住友商事は唯一、通期純利益の当初見通しを下回った。背景には、10年にわたり合計4000億円もの赤字を垂れ流してきた「お荷物事業」の存在があった。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

住商は、3カ月で1136億円の下方修正
五大商社の座を豊通に明け渡す寸前に

 七大商社(三井物産、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、住友商事、豊田通商、双日)の2023年度決算を純利益で比較すると、三井物産が1兆637億円と、総合商社で唯一2年連続1兆円超を達成した。同社は三菱商事を抜いて、単独首位に躍り出た。

 純利益2位以下は、三菱商事9640億円、伊藤忠商事8018億円、丸紅4714億円、住友商事3864億円、豊田通商3314億円、双日1008億円と続く。

 一方、住友商事の純利益3864億円は、過去最高益だった前年度の同5651億円から大幅な減益となった。

 2月の第3四半期決算時に発表した通期純利益の見通しは5000億円だったので、実に1136億円の下方修正である。次点の豊田通商の純利益との差はわずか550億円しかない。もう少しで、長らく保ってきた「五大商社」の地位を明け渡すところだった。

 わずか3カ月前の純利益予想をくつがえすことになった理由は何か。4月に就任したばかりの上野真吾社長が決算会見の場で明らかにしたのは、ある資源ビジネスにおける巨額減損だった。

 次ページでは、住友商事の減益の要因を分析する。10年にわたって合計4000億円もの赤字を垂れ流してきた「お荷物事業」の実態とは。