新興EV企業の苦境、一段と深刻化Photo:Mario Tama/gettyimages

 電気自動車(EV)分野の新興企業は米大統領選の前から苦戦していたが、ドナルド・トランプ氏の勝利でさらに深刻な状況に陥る可能性がある。

 注目を集めた電動SUV(スポーツタイプ多目的車)メーカーの米フィスカーやバス製造の英 アライバル など幾つかの企業が、今年に入り破産を申請した。スウェーデンの電池メーカー、ノースボルトは、独自動車大手 BMW が主要な注文をキャンセルしたことを受けて先週、米破産法11条の適用を申請し、直近の犠牲者となった。

 EVや電池に特化した新興各社の直近の提出文書をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところ、他に少なくとも十数社が来年夏までに資金不足に陥る恐れがあると分かった。

 先行きが厳しさを増す中で、 リビアン・オートモーティブ や ルーシッド・グループ といった経営が比較的安定している米新興企業の株価でさえ、今年に入り50%近く下げている。リビアンは先週、生産能力増強のための最大66億ドル(約9900億円)の政府融資について、条件付きで承認を得た。しかし、投資家はそれでもコスト面を懸念するとともに、同社がトランプ次期大統領の就任式当日までに契約を完了できない場合、この融資を得られなくなるかもしれないとの見通しを不安視している。

 こうした創業間もない企業の多くは、EV需要の減退やコストの上昇、サプライチェーン(供給網)の障害で打撃を受けているため、新製品を迅速に投入できていない。株価の暴落で、これらの企業の時価総額は何十億ドルも消失した。

 政治状況の変化も、米国内で計画されていた投資を危険にさらしている。これらの計画の一部は、州政府や連邦政府の補助金が支援してきた。