米中両国は目下、米国や米同盟国のエネルギー安全保障の未来がかかった大勝負を繰り広げている。それは食塩に含まれるのと同じ、ナトリウムを原料にした電池をめぐる競争だ。両国の研究者や企業がいまや開発に躍起となっているのは、われわれの携帯電話や送電網など多くのものを現在動かしているリチウムイオン電池とは全く異なるものを出発原料とする電池だ。米中貿易摩擦がこのままでは米国の電力貯蔵ニーズを阻害しそうな中で、そのような電池が実現すれば、中国が重要な電池材料をほぼ独占している現状を打破できるかもしれない。この草創期にある電池技術は、リチウムではなく「ソーダ灰」と呼ばれる食塩を使って製造できるナトリウム化合物を使用する。リチウムとは違い、ナトリウムはどんな場所でも容易に入手できる。米国にとってなお好都合なのは、中国では塩からソーダ灰を合成する必要があるのに対し、米国には同じものが安価で豊富に存在することだ。実際、世界の埋蔵量の92%がある米国はこの物質の「サウジアラビア」と言えるかもしれない。
中国製電池に依存する米国、「食卓塩」が終わらせるか
電池原料の主流がナトリウムに変われば、米国や米同盟国は全く新しいサプライチェーンを構築できる可能性
有料会員限定
あなたにおすすめ