IT業界で働くビジネスマンにターゲットを絞った商品開発が好調だ。メガネ専門店「JINS」を展開するジェイアイエヌが先月発表した半期決算で売上高は前年同期比86%増、経常利益は3.8倍に増えた。

 この躍進の立役者となったのが、読者にも使用している向きが多いであろう「JINS PC」。パソコンのディスプレイから発せられ、目への負担の原因と言われるブルーライトを55%カットするという機能がクチコミで広まり、その人気に火がついた。

 そんな「IT業界向けプロダクト」に、スポーツウェア専門メーカーのデサントも注目。同社が引っさげる商品は「PCスーツ」だ。

PCスーツこと「RY400」を着用するサイバー・バズの社員

 PCスーツ、正式名称「RY400」は、着圧で筋肉のサポート力を高め、身体の負担をリカバリーする機能が注目されているコンプレッションウェア。独自に開発したスパンデックスとナイロンを組み合わせた新素材によって、人体の自然な動きを活かしつつ、圧迫のストレスを低減した着用感を実現させるすぐれた伸縮性が最大の特長。

 IT業界で働いていると、一日中パソコンとにらみ合い、ランチとトイレ休憩以外はずっと座りっぱなし。肩や背中、腰の痛み、そして足のむくみなどを感じている人は少なくないだろう。

 IT業界では、その評判が拡がり始めている。サイバーエージェント系の広告代理事業者サイバー・バズでは、エンジニアやデザイナー職の社員へ向けた福利厚生の一環として、PCスーツを配布する試みを行っている。

「長時間座ったまま仕事をすることで、肩や腰に負担を抱えている社員が多く、何とかして解決しなければと考えていました。そんななか、ネットニュースで『PCスーツ』を導入している企業があると知り、弊社でも導入を前提にトライアルを行うことにしたのです」(人事・採用担当/吉澤麻貴さん)

 実際に、PCスーツを着用している社員に使用感を聞いてみたところ…

「PCスーツを着るようになって、姿勢がよくなったと周りから言われます。着圧で緊張感があるからだと思います」(男性エンジニアKさん)

「ロングタイツを着用していると、夕方になっても脚のダルさがなく、足周りが軽やかです」(女性ディレクターKさん)

「汗をかきやすい部分がメッシュになっていて、風通しがよいので着心地がよいです。洗濯をしても乾きやすいので、インナーとして毎日着られるのもいいですね」(男性デザイナーHさん)

 など、社員からの反応も上々。現在は正式導入を目指して、制度を整えている段階だという。

 デサントが今年2月に行った、20~50代の男性ビジネスパーソンを対象としたインターネット調査によると、87.6%の人が長時間のデスクワークで「イライラ」や「疲労」などのストレスを感じていることが明らかになっている。

 一方、疲労改善へ向けた対策を行なっている人は、半数以下の49.4%という結果に。そんななか、働きながら手間をかけずに体への負担を軽減することが求められ、結果として、「衣」による対策が注目されているようだ。

 IT業界で働くビジネスマンは、他の業界に比べてインターネットを通じて情報発信する人が多いと実感する。彼らをメディアと捉え、自社商品を広く発信したいと考える企業はこれからも増えそうだ。

岡 徳之/Noriyuki Oka Tokyo & 5時から作家塾(R)