会社を伸ばす社長、ダメにする社長、そのわずかな違いとは何か? 中小企業の経営者から厚い信頼を集める人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊[増補改訂版]経営書の教科書(ダイヤモンド社)は、その30年の経験から「成功する経営者・リーダーになるための考え方と行動」についてまとめた経営論の集大成となる本です。本連載では同書から抜粋して、経営者としての実力を高めるための「正しい努力」や「正しい信念」とは何かについて、お伝えしていきます。

経営者として成功するために知っておきたい、3つのこととは?Photo: Adobe Stock

経営者に求められるのは、「経済学」と「心理学」

 基本的には、経営者に求められるのは、「経済学」と「心理学」だと私は考えています。

 方向づけやその他、経営にまつわる様々なところで、この二つの実践的な知識が重要になります。

 もっとも、「経済学」とは、学問としての経済学ではなく、世の中がどういうふうに動いているのかを読み解くことを指します。

 また、お客さまがどんな商品を買ってくれるのか、それを見極めるには、経済学的な要素と共に、心理学の要素が深くかかわってくるのです。

 また、「人を動かす」という点でも、「人とはどういうものか」を理解するには、実践的な心理学を知っておくべきです。

新聞を読む、世間を見る

 つまり、実践の「経営」について本当に勉強しようと思うなら、まずは世の中の動き、それから人の動き、人の心を知ることが大事なのです。

 経済を実践的に学ぶためには、新聞、とくに日本経済新聞を一面から読むことがお勧めです。

 勉強法とも関連するので、次回に新聞の読み方を少し詳しく説明しておきます。

 できるだけ早くから、「正しい努力」を知り、積み重ねていただきたいと思います。

 そうすれば、誰でも世の中の動きをある程度、読み解くことができるようになります。

 (本稿は『[増補改訂版]経営者の教科書 成功するリーダーになるための考え方と行動』の一部を抜粋・編集したものです)

小宮一慶(こみや・かずよし)
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。在職中の84年から2年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。
94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『経営者の教科書』『社長の成功習慣』(以上、ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(以上、東洋経済新報社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(以上、PHP研究所)等がある。著書は160冊以上。累計発行部数約405万部。