会社を伸ばす社長、ダメにする社長、そのわずかな違いとは何か? 中小企業の経営者から厚い信頼を集める人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『[増補改訂版]経営書の教科書』(ダイヤモンド社)は、その30年の経験から「成功する経営者・リーダーになるための考え方と行動」についてまとめた経営論の集大成となる本です。本連載では同書から抜粋して、経営者としての実力を高めるための「正しい努力」や「正しい信念」とは何かについて、お伝えしていきます。

紙一重の「正しい努力」を積み重ねる
ここまで方向づけの大切さを述べてきました。
私は経営者のコーチですから、皆さんがどうすれば方向づけの能力を高められるかをここから説明しましょう。
「正しい努力」の紙一重の「積み重ね」ということを「はじめに」で述べましたが、その正しい努力についてご説明します。
それは三つあります。
1.新聞の大きな記事を読む
2.経営の原理原則を学ぶ
3.何千年もの間、多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶ
これらを紙一重で積み重ねていくのです。
一定の正しい努力が積み重なれば、成功する確率の高い方向づけができるようになります。
当社では会員さん向けのセミナーや後継者を育成するゼミを開いています。多くの企業でも経営の研修をさせてもらっています。
それらの参加者にもこのことを伝え、実践してもらっていますが、ここに挙げた三つのことをきちんと積み重ねている人たちの成功確率が高いことは言うまでもありません。
人生や経営成功の根幹を学ぶ
新聞は世の中の動きを知るため、経営の原理原則は経営をやるための根幹を学ぶため、そして何千年もの間多くの人が正しいと言ってきたことを学ぶことで、人生や経営成功の根幹を学ぶのです。
新聞については次の項から、経営の原理原則については、この連載の全体を通じて説明します。
そして、何千年もの間、多くの人が正しいと言ってきたことについても、あとで詳しく説明します。
(本稿は『[増補改訂版]経営者の教科書 成功するリーダーになるための考え方と行動』の一部を抜粋・編集したものです)
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。在職中の84年から2年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。
94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『経営者の教科書』『社長の成功習慣』(以上、ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(以上、東洋経済新報社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(以上、PHP研究所)等がある。著書は160冊以上。累計発行部数約405万部。