会社を伸ばす社長、ダメにする社長、そのわずかな違いとは何か? 中小企業の経営者から厚い信頼を集める人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『[増補改訂版]経営書の教科書』(ダイヤモンド社、8月27日発売)は、その30年の経験から「成功する経営者・リーダーになるための考え方と行動」についてまとめた経営論の集大成となる本です。本連載では同書から抜粋して、経営者としての実力を高めるための「正しい努力」や「正しい信念」とは何かについて、お伝えしていきます。

経営と管理は、まったく別物
経営を「管理」だと考えている人は沢山いますが、「管理」は正しい方向づけができているという前提があって、初めて生きてくるものです。
方向づけが間違っているのに正しい管理がなされてしまうと、むしろ会社は早く崖っぷちに到達するだけです。
つまり「方向づけ」が正しくなされていることが、会社が成功するうえでの大前提と言えます。
管理は、部長以下でもやれる仕事です。
とにかく、経営者が「方向づけ」を正しく行うことが最重要なのです。
正しく決める判断能力を持つ
「方向づけ」とは、前にも話したように、「何をやるか、やめるか」を決めることです。
それは会社全体の場合もあり、また部門を預かる立場にある人であれば、部門で何をやるか、やめるかを決めることでもあります。
大切なのは、経営者が「何をやるか、やめるか」を正しく決める判断能力を持つことです。
そして、判断の大前提として、内外環境の分析は必須ですが、それとともに実は、経営者の考え方(=経営哲学)を確立していることがとても重要なのです。
価値観ですが、それが判断のベースになるからです。
それについては、後に詳しく説明します。
(本稿は『[増補改訂版]経営者の教科書 成功するリーダーになるための考え方と行動』の一部を抜粋・編集したものです)
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。在職中の84年から2年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。
94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『経営者の教科書』『社長の成功習慣』(以上、ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(以上、東洋経済新報社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(以上、PHP研究所)等がある。著書は160冊以上。累計発行部数約405万部。