会社を伸ばす社長、ダメにする社長、そのわずかな違いとは何か? 中小企業の経営者から厚い信頼を集める人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『[増補改訂版]経営書の教科書』(ダイヤモンド社)は、その30年の経験から「成功する経営者・リーダーになるための考え方と行動」についてまとめた経営論の集大成となる本です。本連載では同書から抜粋して、経営者としての実力を高めるための「正しい努力」や「正しい信念」とは何かについて、お伝えしていきます。

経営者にとって新聞の一面記事は必読
世の中の流れを知るには、新聞、それも日本経済新聞を読むのがとても役立ちます。
しかし、経営者としての読み方やコツがあります。
まずは、大きな記事を読むのです。新聞一面のトップ記事には、読者にとってその日最も重要である、読者に知ってほしいという記事が載っています。
まず、それを読むのです。
これは、どういうことかというと、「自分の関心を世間の関心に合わせる訓練」なのです。
会社という字は、面白いもので、「社会」という字を反対にしたものですが、どんな大企業であっても、社会の大きな動きには勝てません。
世の中がどのように動いているかを知ることは、経営においてとても大事なことです。
忙しいときには、記事の内容を4、5行にまとめた「リード文」だけでもいいので、読んでください。
新聞を読むことは、
自分の関心の幅を広げる訓練になる
さらには、国際面でも金融面でも、リード文の出ている記事(毎日10程度)は、そこだけでも目を通すことをしていると、数カ月も経てば、新聞の「読め方(読み方ではない)」が違ってきて、世の中が徐々に見えるようになってきます。
日経新聞の一面トップ記事で、ときどきリード文のないものがありますが、そのときは最初の数段落を読めば記事の内容が分かります。
電子版でも同じで、大きな記事の最初の数段落を読んでください。
新聞を読むときに、見出しを見ない人はいないと思いますが、関心のない記事は読み飛ばしていることがほとんどです。
それでは世の中の流れは見えてきません。自分の関心の幅を、世の中の流れが見えるように拡大することが大切なのです。
(本稿は『[増補改訂版]経営者の教科書 成功するリーダーになるための考え方と行動』の一部を抜粋・編集したものです)
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。在職中の84年から2年間、米ダートマス大学タック経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、91年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。
94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『経営者の教科書』『社長の成功習慣』(以上、ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(以上、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(以上、東洋経済新報社)、『図解「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』(以上、PHP研究所)等がある。著書は160冊以上。累計発行部数約405万部。