ドナルド・トランプ米大統領が打ち出したカリフォルニア州沖の原油掘削計画が厳しい現実に直面している。同州沖合での掘削は、トランプ氏に近い共和党の議員すら政治的な理由から忌避してきた。アナリストや政治コンサルタントらはこのような背景もあり、石油会社が同州沖で掘削する事業は事実上成り立たないとみている。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主)は今年に入り、掘削に関し大きな政策転換を図り、州の石油産業の中心地、ベーカーズフィールドを擁するカーン郡に今後10年間で2万件の掘削許可を発行することを認めた。州内の製油所に国内産原油を供給し、高騰するガソリン価格を抑える狙い。だがニューサム氏が内務省の計画案に反対を表明するのに時間はかからなかった。同案はカリフォルニア州、アラスカ州、そしてトランプ氏が「アメリカ湾」と呼ぶメキシコ湾東部での沖合掘削を認める内容で、今週にも発表される見通しだ。同案は「到着と同時に死んだも同然」の内容だとニューサム氏は評している。