「6万円」を瞬殺で稼ぐ手口が、あまりに「地味」すぎるも納得させられた
投資歴70年 資産24億円――【プロの儲かる知識を簡単インストール】人生、もう詰んだ……40歳、しがないサラリーマン。月1万5000円の小遣いを握りしめ、毎日通勤する日々だ。増えない給料、重くのしかかる住宅ローンと教育費。冷え切った家庭に、もはや自分の居場所はない。そんな人生のどん底の状況で拾った、1冊の古びた手帳。それが投資歴70年、資産24億円を築いた89歳現役トレーダー・シゲルさんとの奇跡的な出会いだった。お金、仕事、家庭……すべてに絶望した崖っぷちの男が“投資の神様”から授かった「世界一のお金と人生の授業」とは?“小説形式”だからスラスラ読めてドンドンわかる話題の書『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。答えはすべて、この物語にある。

「え、たった差益60円で売るの?」投資歴70年・資産24億円の投資家、シゲルさんが“小銭”を拾う深い理由写真:川瀬典子

「億り人」の地味すぎる手口

シゲルさんのパソコンが、ピコン、と音を立てた。また約定した通知だという。

「武蔵精密工業も約定やな。2240円で買うて、2300円で売った。60円とれたわ」

「60円……ですか。正直に言うと、投資家ってもっと株価がガツンと上がってから売るイメージでした」

小銭を巨富に変える「数の暴力」

「場合によっちゃ10円、20円でも売るよ。たとえば60円でも、1000株売れば6万円やろ? 1日で6万円稼げる人間、世の中にどれくらいおると思う?」

労働の価値が揺らぐ、残酷な格差

その問いには、思わず黙ってしまった。1日で6万円稼げれば、月20日稼働するとして、月収120万円。僕の月収は、もちろん遠く及ばない

投資という世界の現実が、また1つ、目の前に突きつけられた気がした。

「……おっしゃる通りです」

【解説】「ホームラン」より「ヒット」の量産を

シゲルさんのトレードは、一見すると地味で夢がないように映るかもしれません。しかし、ここにこそ「相場で生き残る投資家」の現実的な思考法が凝縮されています。

初心者はつい、株価が2倍、3倍になるような「一発逆転のホームラン」を狙いがちです。しかし、株価がそこまで大きく育つのを待つということは、それだけ長い時間、不確実な未来に資金をさらす(リスクを取る)ことを意味します。

一方、シゲルさんのように数%の利益で満足し、こまめに利益を確定させるスタイルは、「不確実性を排除し、確実にキャッシュを手元に残す」という、極めて堅実なビジネスの手法ともいえます。「60円」という値幅は小さく見えますが、欲張らずに勝ちを積み重ねることで、結果的に大きな資産を築くことができるのです。

資金効率(回転率)こそが武器

また、早期に売却することには「資金拘束を解く」という大きなメリットがあります。

含み益のまま株を持ち続けても、そのお金は次の投資に使えません。しかし、サッと利益確定して現金に戻せば、また別のチャンス(銘柄)にその資金を即座に投入できます。これを「資金の回転率を高める」と言います。

限られた資金を雪だるま式に増やしていくためには、一つの銘柄に固執して大化けを待つよりも、小さなチャンスを何度も拾い集める「機動力」のほうが、実は遥かに効率的な場合が多いのです。

「頭と尻尾はくれてやれ」という格言通り、天井まで欲張らず、腹八分目で利益を確定させる。その「地味な作業」の繰り返しこそが、やがてあなたの月収、あるいは年収を超える利益を生み出す最短ルートになるかもしれません。

※本稿は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。