個人投資家の間で大きな支持を集めるのが『株トレ』シリーズです。シリーズ第2弾の『株トレ ファンダメンタルズ編』では、60題のクイズを通じて「業績や財務の読み方」を学べます。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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チャート分析とファンダ分析
下落してきたチャートを見ると、「さすがに下げすぎでは?」「そろそろ反発しそうだ」そんな考えが、自然と頭に浮かびます。
けれど、いざ買おうとすると、手が止まる。「まだ下がるかもしれない」「ここで買うのは、早すぎるかもしれない」
株が好きな人ほど、この期待と不安が入り混じる感覚に身に覚えがあるのではないでしょうか。
では、株のプロは、下がってきた株をどのように見ているのでしょうか。
下落した株を買うとき、プロはどこを見る?
話をわかりやすくするため、ケースを単純化して考えてみましょう。
次のA社のチャートを見てください。株価は、この3ヵ月で、1,000円から800円まで下落しています。

窪田さんは、チャートだけで判断すれば「様子見」が無難と言います。
移動平均線は下向きで、株価も移動平均線の下に位置しているため、この局面では、まだ「下落モメンタム(下げの勢い)」が完全に消えたわけではありません。
ただし、「売り」と判断することもできないと言います。
株価は、ここ1カ月半ほど800~850円の範囲で行き来するレンジ相場となっています。
移動平均線は、下向きから横ばいへと変わりつつあり、下落モメンタムは徐々に弱まってきています。
ここから、もう一段下を試しにいくのか。それとも、このまま底値圏で推移するのか。チャートだけでは、判断がつかない局面なのです。
こうした場面について、窪田さんは本書の中で次のように語っています。
見た瞬間に「売り!」「買い!」と確信できるシグナルが出ているチャートは、そんなにしょっちゅう見つかるものではありません。(中略)
テクニカル分析であいまいなシグナルしか出ていない銘柄でも、ファンダメンタルズまで見ると、自信を持って「売り」「買い」の判断ができることがあります。
――『株トレ ファンダメンタルズ編』より
つまり、チャートだけでは決めきれないときこそ、ファンダメンタルズを見ることで判断の精度を高められるというわけです。
ファンダメンタルズを分析してみると…
A社のファンダメンタルズを分析して、次の3つのことが分かったとします。
①予想配当利回り6.25%、安定配当の高配当株
A社の1株あたりの年間配当金は50円。株価が1,000円だったときの予想配当利回りは5%でしたが、800円まで下がった現在は6.25%に上昇しています。
さらに過去10年間、減配のない安定配当を続けている銘柄です。
②財務内容は良好
窪田さんは、業績が悪化した株を、将来の業績回復を見込んで買うことはあっても、財務が悪化している株は手を出してはいけないと言います。
財務を見るポイントは本書で詳しく解説されていますが、A社については、財務が健全であることを確認できました。
③株価下落は日経平均の下落に連動したもの
1,000円から800円への急落は、市場全体の下落とタイミングが一致しており、A社固有の悪材料は見当たりませんでした。
チャートとファンダメンタルズの両方を踏まえると、財務が健全で、長年安定配当を続けてきた銘柄であれば、短期的な下値リスクは残るものの、長期投資としては買っていってよいと判断できる。窪田さんは、そう説明しています。



