株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の売買タイミング」をどう見極めているのでしょうか?「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」―そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

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チャートから需給を読み取る

 買おうかどうか迷っているうちに、株価だけがどんどん上がっていき、結局買えなかった。反対に、売ろうかどうかと躊躇しているうちに株価がズルズルと下がり、含み損が膨らんでしまった。

 株式投資が好きな人であれば、多かれ少なかれ、こうした場面を何度も経験しているのではないでしょうか。

 では、こうした局面で、株のプロはチャートのどこを見て、売買の判断を下しているのでしょうか。

『株トレ』の著者、窪田さんはこう言います。

「私のチャートの見方はシンプルです。チャートから読み取るのは需給です。誰かが売ろうとしている、誰かが買おうとしていると読み取れるものに乗っていきます」(『株トレ』より)

 ポイントは、チャートを使って「株価が上がるか、下がるか」を予測することではありません。

 重要なのは、今の市場で、売りと買いのどちらの勢いが強いのか。需給のバランスを見極め、勢いのあるほうに乗るという考え方です。

 では、どうすれば、その需給の変化をチャートから読み取ることができるのでしょうか。

ボリンジャーバンドを活用する理由

 ここで登場するのが、「ボリンジャーバンド」です。

 ボリンジャーバンドとは、「株価」、「移動平均線」、「σ(標準偏差)」で構成されるチャートの分析ツールです。

『株トレ』では、「13週移動平均線+2σ」「13週移動平均線-2σ」のボリンジャーバンドを使ったトレードの手法を紹介しています。

株で資産を増やせる人と、そうでない人の差はどこにあるのか?「買い時」の正解

 株価の変動が正規分布に従うと仮定すると、株価がこの2本のバンドの内側に収まる確率は、統計的に約95%とされています。

 逆に言えば、株価がボリンジャーバンドの外に出た場合は、過去13週間になかった新しい変化が起きたことを示唆します。マーケットに何か新しい材料が出て、その銘柄に対する投資家たちの評価が変わった瞬間ともいえるのです。

チャートで判断する「株の買い時」とは?

 では、先ほどのチャートをもう一度見てみましょう。

 6ヵ月前から、1ヵ月前までの期間で、ボリンジャーバンドの幅が狭くなっています。この期間は、株価の変動が小さい「静かな相場」だったと言えます。特に取引の材料がなかったのでしょう。

 ですが、1ヵ月前からバンド幅が拡大し、株価が大きく上昇しています。急激に株価の変動が大きくなっていることがわかります。それまで拮抗していた需給のバランスが崩れ、買いの勢いが強まったのです。市場に新しい好材料が出て、投資家たちが買い始めたのでしょう。

 このように買いの勢いが強いタイミングで買い、上昇トレンドが継続する限り持ち続けるのが、本書で紹介しているチャートを使った1つの戦略です。