筋トレ後のプロテインが習慣になっている。健康のためにたんぱく質を意識して多めに食べている――そんな人ほど、一度立ち止まって考えてほしいことがある。「多いほどよい」は、必ずしも正しくないからだ。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
「たんぱく質は多めに摂ればいい」と思っていないか
健康志向の高まりとともに、たんぱく質をしっかり摂ろうという意識は広まっている。
食事でも意識して、さらにプロテインドリンクも毎日飲む――
そういう人は、少なくないはずだ。
しかし、体が必要とする量を超えたたんぱく質は、筋肉の材料にはならない。
余剰分はエネルギー源として燃やされ、その過程で「燃えカス」が生じる。
この燃えカスを処理するのが、肝臓と腎臓だ。
つまり、摂れば摂るほど、これらの臓器に負担をかけることになる。
健康な人でも「摂りすぎ」は無関係ではない
たんぱく質をたくさん食べると、体の構成成分の材料として使われなかった余剰分はエネルギー源として燃やされてしまいます。
そのときのたんぱく質の燃えカスの処理によって、肝臓や腎臓に持病がある人は、持病が悪化する可能性があります。
また、大きな持病のない元気な人でも、山のようにたんぱく質を食べたら、肝臓と腎臓への負担量は無視できなくなります。
特にプロテインサプリを摂り過ぎると、肝臓や腎臓を痛めることがあります。何ごともほどほどに抑えてください。
自分は健康だから大丈夫と思っている人も、注意が必要だ。
著者は山のようにたんぱく質を食べたら、肝臓と腎臓への負担は無視できなくなると言い切っている。
持病の有無にかかわらず、過剰摂取のリスクはゼロではない。
特に見落としがちなのが、食事とサプリの「合算」だ。
肉や魚をしっかり食べたうえに、プロテインドリンクを1~2杯飲む――
それだけで、一日の摂取量が知らず知らずのうちに多くなっていることがある。
手軽に摂れるからこそ、量の感覚が鈍くなりやすい。
「ほどほど」が、長く健康でいるための現実的な答えだ
著者の言葉は、シンプルだ。
何ごともほどほどに抑えてください。
派手なアドバイスではないが、長く続けられる食習慣の土台は、こういった地味な原則の上にある。
肝臓や腎臓に持病がある人は、たんぱく質の摂取量について必ず主治医に相談してほしい。
持病がない人も、プロテインサプリの用量目安を守り、食事との合算を意識することが大切だ。
心配な場合は、かかりつけ医や栄養士に相談することをお勧めしたい。
今日から試すなら、一日のたんぱく質摂取量(食事+サプリ)を合算して、一度確認することだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
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世間には数多くの健康法があふれています。
そして健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れています。
しかし、その結果「本当の健康」を得られている人はどれほどいるでしょうか。
ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
また「健康意識」の高まりを狙った企業のマーケティングの影響で「必要のない食品」や「効果の薄いサプリ」を購入してしまう可能性もあるのです。
そんななか、食事対する必須知識として「栄養学」への関心が高まっています。
本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
誤解しがちな栄養に関する知識を正し、実生活のなかですぐに取り入れることができる具体的な食べ方や食材、食品がふんだんに掲載されています。
基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ