スマートフォンを手にした子どもと話す保護者写真はイメージです Photo:PIXTA

メディアではスマホの長時間利用が問題視され、デジタルデトックスがしきりに推奨されている。しかし、そうした社会の風潮こそが、かえってスマホ依存の感覚を強めているという。無理をしてまでデジタルデバイスから離れることは、果たして正解なのか。最新研究が明かす、新しいスマホとの向き合い方とは?※本稿は、社会学者の木村忠正『スマホは心を操る』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

スマホへの依存度と
実際の利用時間は直結する?

 私たちはよく、「スマホを長時間使っているから依存症だ」と考えがちです。ですが、自己申告式利用程度とログデータとの間には乖離が見られ、ログでの利用時間やアプリ起動回数とスマホ依存尺度との関連は強くないことが示されてきました。

 そして、LDASUデータ(編集部注/アプリの利用ログデータを用いて、人々の情報行動や依存度を分析する、筆者を中心とした共同研究プロジェクト)を用いた分析も、この点を改めて裏づける結果となりました。

 LDASUでは、スマホ利用ログという客観的データと、アンケートによる自己申告データを組み合わせて分析することができます。その結果から明らかとなるのは、ログデータで「どれだけ使っているか」よりも、「自分はどれくらい使っていると思っているか」という主観的な利用認識の方が、「スマホ依存」と強く結びついているという点です。

 まず、LDASU2020のログデータと立教21調査(編集部注/スマホ依存、孤独感、情報行動、アプリ利用自己評価等の心理・意識変数を含むウェブ調査。603名がアプリ経由のアンケートで回答)を組み合わせた分析を、筆者が試行的に行い(注1)、筆者の研究室所属の山中惇史がより詳細に行いました(注2)。

(注1)木村忠正(2021)「情報行動研究における質問紙調査とログデータ」、橋元良明編『日本人の情報行動2020』東京大学出版会、287-313頁

(注2)山中惇史(2025)「『スマートフォン依存』はどこからくるのか:主観的利用認識と利用ログデータを用いた分析」、『社会情報学』13(3)、1-16