「若い頃は優秀だったのに、40代を過ぎてから成長が止まったように見える人」がいる。その原因は、能力の低下ではなく、昔の成功体験にあるかもしれない。人の持つカードは年齢や環境によって変化する。しかし、かつての武器が通用しなくなっているのに、それを握り続けてしまう人は少なくない。では、年齢を重ねても成長し続ける人は何が違うのだろうか。刊行された書籍から、その理由を紹介する。
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昔の「勝ちパターン」を手放せない
「昔はあんなに活躍していたのに、最近なんだか伸び悩んでいる」
そんな人を見たことはないだろうか。
20代や30代の頃は周囲から評価され、成果も出していた。ところが40代になると、なぜか存在感が薄くなる。本人は努力しているつもりなのに、以前ほど結果が出ない。
この現象は、能力が衰えたから起きるわけではない。むしろ問題は、「若い頃に通用したカードを使い続けていること」にある。
僕は書籍『天才になれなかった全ての人へ』の中で、「自分のベテランになる」という考え方を書いた。ただし、この考え方には続きがある。それは、「自分のカードは一生同じではない」ということだ。
20代のカードと40代のカードは違う
多くの人は、若い頃に一度成功すると、その成功体験を自分の本質だと思い込む。
たとえば20代の頃、体力があった。誰よりも長時間働けた。新しい情報を人一倍吸収できた。上司より詳しい知識を持っていた。そんなカードで勝っていた人がいる。
しかし40代になれば状況は変わる。体力で勝負すれば、もっと若い世代がいる。新しい情報への感度も、学生時代からSNSやAIに触れている世代には敵わない。知識の価値も、検索や生成AIによって相対的に下がっていく。
にもかかわらず、多くの人は同じカードを握り続ける。「昔はこれで評価された」という成功体験が強いほど、新しいカードに持ち替えられなくなる。だから成長が止まるのだ。
「自分のベテラン」を卒業してしまう人
若い頃に自分のベテランになることは大切だ。自分が何を得意とし、何が苦手なのかを理解する。その理解がなければ、自分の天才状態には入れない。
しかし、多くの人は途中で勘違いする。自分のベテランになることと、自分を固定化することを混同してしまうのだ。
20代の頃に「自分は営業タイプだ」と思った人がいる。だが40代になれば、その経験を活かして、「人を育てる」が新しいカードになっているかもしれない。ところが本人は、20代で作った自己分析シートを更新しない。すると、現在の自分と認識している自分にズレが生まれる。このズレが大きくなるほど、能力を発揮できなくなる。
40代以降に伸びる人の共通点
一方で、年齢を重ねても成長し続ける人もいる。彼らの特徴は、「自分のベテラン」を更新し続けることだ。
若い頃の成功体験を否定するわけではない。ただ、それを絶対視しない。「今の自分は何のカードを持っているのか」を定期的に確認している。
昔は瞬発力が武器だった人が、今は経験による判断力で勝負する。昔は自分で手を動かしていた人が、今は人を動かすことで成果を出す。昔は個人戦だった人が、今はチーム戦で価値を発揮する。
つまり、年齢とともにカードを入れ替えているのだ。
「自分のベテランになる」という作業は一度で終わらない。人生を通じて続けるものなのだ。
成長が止まる人は、学ぶことをやめた人ではない。自分を観察することをやめた人である。そして成長し続ける人は、年齢を重ねてもなお、自分という人間の取扱説明書を書き換え続けている人なのである。
(本記事は書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』に関する書き下ろし原稿です)







