「じっくり考えなさい」――子どもの頃、一度はそう言われたことがあるのではないだろうか。しかし「じっくり考え抜く力」とは、時間をかけることではない。本当に大切なのは、自分の思い込みを捨てて考えられることだ。その力があるかどうかを試す、たった一つの問いを紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
※本稿は、野村裕之著『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』の一部を引用・編集して作成した記事です。
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「じっくり考え抜く力」を高める練習とは?
「じっくり考え抜く力を高めたい」
そのために最適な練習が論理的思考問題です。
知識や難しい計算は必要とせず、問題文を読んでじっくり考えれば、誰でも答えを出せる。
まさに「じっくり考える力」だけが問われる問題です。
そのため、小学校や中学校の受験問題としても出題されています。
都合のいい思い込みを捨てられるか?
たとえば、こんな問題です。
A,Bという2つの空港がある。
いまあなたは、飛行機でAを出発してA,B間を往復する。
A,B間が「無風」のときとくらべて、「AからBへ、つねに風が吹いている」とき、飛行機の往復時間はどうなるだろうか?
以下から選んでほしい。
『変わらない』
『無風のときより長くなる』
『無風のときより短くなる』
なお、飛行機のエンジン回転数や風速は一定とする。

シンプルで古典的な問題ですが、正解に辿り着ける人はごくわずかな問題です。
批判的な思考で、一緒に考えていきましょう。
直感とは逆の答え
「行きは追い風で速くなり、帰りは向かい風で遅くなる。」
そう聞くと、多くの人は「結局プラスマイナスゼロになるのでは?」と考えるでしょう。
しかし、この問題の答えは違います。
風が吹いているほうが、往復時間は長くなります。
少し意外に感じるかもしれません。
たしかに、AからBへ向かうときは追い風を受けるので、通常より早く到着できます。
一方、帰りは向かい風になるため、その分だけ時間がかかります。
それなら、お互いに打ち消し合って同じ時間になるようにも思えます。
では、なぜそうならないのでしょうか。
向かい風の影響を計算してみる
具体的な数字で考えると、理由が見えてきます。
たとえば、
・A、B間の距離:600km
・無風時の飛行機の速度:時速200km
とします。
この場合、無風なら、
行き:3時間
帰り:3時間
合計6時間です。
では、AからBへ向かって時速100kmの風が吹いているとしましょう。
行きは追い風なので、
時速200km+100km=時速300km
となり、所要時間は2時間になります。
なお、実際は風速がそのまま速さに加算されるわけではありませんが、計算しやすいように単純化しています。
反対に帰りは向かい風です。
時速200km-100km=時速100km
となるため、所要時間は6時間かかります。
つまり、
行き:2時間
帰り:6時間
合計8時間です。
追い風で1時間短縮できても、向かい風では3時間余計にかかるため、往復すると無風より長い時間が必要になるのです。
極端な例で考える
この理由をさらにわかりやすくするために、もっと極端な条件を考えてみましょう。
・A、B間の距離:600km
・飛行機の速度:時速200km
・風速:時速200km(AからB方向)
という場合です。
行きは強い追い風で進めますが、帰りは事情がまったく変わります。
飛行機が前へ進もうとする速さと、向かい風の強さがちょうど同じになります。
つまり理論上、
飛行機はBからAへ1メートルも進めません。
帰りの所要時間は無限になってしまいます。
この極端な例からも、追い風で短縮できる時間と、向かい風で失う時間は対称ではないことがわかります。
だからこそ、風が吹いている場合の往復時間は、無風のときより長くなるのです。
正解
無風のときより長くなる。
まとめ
この問題は、「行きで得した時間」と「帰りで失う時間」は同じではないことを教えてくれます。
追い風で速くなる効果よりも、向かい風で遅くなる影響のほうが大きくなるため、往復時間は必ず長くなります。
同じ考え方は、たとえば「平らな道を100メートル往復する場合」と「動く歩道の上を100メートル往復する場合」などにも当てはまります。
直感では「速くなった分だけ遅くなる」と考えてしまいがちですが、実際に計算すると、そう単純ではありません。
思い込みではなく、条件を一つずつ整理して考え抜くことの大切さを教えてくれる問題です。








