我が子に「論理的に考える力を身につけてもらいたい」と願う親は多い。しかし、自発的に磨いてもらうことは難しい。そこで今、注目されているのが「論理的思考問題」だ。Google、Apple、Microsoftなどの入社試験や、小学校・中学校の入学試験でも出題され、思考力を鍛える練習として注目されている。本稿で1問紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
※本稿は、野村裕之著『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』の一部を引用・編集して作成した記事です

「本当に頭のいい子供」だけが正解できる、たった1つの問いPhoto: Adobe Stock

「論理的に考える力」を高める練習とは?

「論理的に考える力を高めたい」

そのために最適な練習が論理的思考問題です。

知識や難しい計算は必要とせず、問題文を読んでじっくり考えれば、誰でも答えを出せる。
まさに「じっくり考える力」だけが問われる問題です。

そのため、小学校や中学校の受験問題としても出題されています。

直感の落とし穴に気づけるか?

たとえば、こんな問題です。

2回目の競走

あなたはライバルと100メートル走をすることになった。
1回目の競走で、あなたは負けてしまった。
ライバルがゴールした瞬間、 あなたはまだゴールの10メートル手前を走っていた。
そこで2回目はハンデとして、ライバルはスタート地点の10メートル後ろから走った。
2回目の競走で勝ったのはどちらだろうか?
なお、あなたとライバルはつねに一定の速度で走る。

「本当に頭のいい子供」だけが正解できる、たった1つの問い
――『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』より(イラスト:ハザマチヒロ)

差がついた分のハンデをつけたのだから、同時にゴールするのでは?

……と、直感で判断すると間違えやすい問題です。

一緒に考えていきましょう。

1回目の競走からわかること

「10メートル差がついたのだから、次は10メートルのハンデでちょうどいいはず」

そう考えてしまいがちですが、この問題はその直感が落とし穴になっています。

まずは、1回目のレースで確実にわかることを整理しましょう。

2人とも一定の速さで走るので、

ライバルが100メートル走る時間と、あなたが90メートル走る時間は同じ

ということになります。

つまり、同じ時間で比べると、ライバルは100メートル、あなたは90メートルしか進めません。

この時点で、ライバルのほうが速いことが確認できます。

2回目のレースを考える

では、2回目の勝負ではどうなるでしょうか。

ライバルはスタート位置を10メートル後ろに下げています。

そのため、

・あなたは100メートル
・ライバルは110メートル

走ることになります。

ここで、1回目の結果を思い出してください。

ライバルが100メートル進む間に、あなたは90メートル進みます。

つまり、ライバルがスタートから100メートル進んだ時点では、あなたも90メートル進んでいます。

2回目のコースに当てはめると、

2人ともゴールまで残り10メートルの地点で並ぶ

ことになります。

しかし、そこから先はまだ10メートル残っています。

この最後の10メートルでは、より速く走れるライバルのほうが前へ出ます。

そのため、2回目もライバルが先にゴールします。

正解

2回目もライバルが勝つ。

まとめ

この問題では、「前回ついた差と同じだけハンデをつければ公平になる」という直感が通用しないことがポイントでした。

もし本当に同時ゴールを目指すのであれば、ライバルを10メートル後ろから走らせるのではなく、あなたがスタート地点より10メートル前から走り始めるという条件にする必要があります。

そうすれば、ゴール地点で2人はちょうど並びます。

一見すると似たようなハンデの付け方でも、その意味はまったく異なります。見た目の印象だけで判断せず、条件を丁寧に整理して考えることの大切さを教えてくれる一問でした。