『5年で1億貯める株式投資』(26万部)、『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』(13万部)、『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(18万部)など、ヒット作を連発する斎藤順さん。現在、ダイヤモンド社書籍編集局第四編集部で、業務委託の「プロフェッショナル編集者」として活躍中です。18年ほど勤めた前職を辞めるつもりはありませんでした。当時40代半ば。育ち盛りの子どもがいて、住宅ローンも15年ほど残っていました。なぜ正社員を離れ、新たな道へ踏み出したのか。その決断を聞きました。ダイヤモンド社では現在、「プロフェッショナル編集者」を募集中です。「募集要項」をご覧ください。

住宅ローンがあり、育ち盛りの子どももいた。それでも40代半ばで「業務委託編集者」を選んだ理由【前編】

――長く出版社で働いてきた編集者にとって、「正社員」という立場を離れるのは簡単な決断ではありません。ダイヤモンド社の書籍編集局 第四編集部で業務委託編集者として働く斎藤順さんも、前職を辞めるつもりはまったくなかったといいます。当時は40代半ば。育ち盛りの子どもがいて、住宅ローンも15年くらい残っていました。それでも斎藤さんは、新しい環境に飛び込むことを決めました。何が、その決断を後押ししたのでしょうか。編集者になった経緯から、業務委託という働き方を選ぶまでを聞きました。

正社員から業務委託へ。その決断の理由

――そもそも斎藤さんは、どういうきっかけで編集者になったのですか?

 僕は、編集者になろうと思ったことは、1ミリもなかったんです。大学を卒業して最初に入ったのは、米国系国際航空貨物の会社です。その会社の輸出部で、3年弱働きました。内勤だったのですが、朝から晩まで書類づくりばっかりで、はっきり言ってあまり面白くなかったんですよね。

 それである日、日経新聞の求人欄を見ていたら、輸送経済新聞社という会社がマーケティング担当を募集していたんです。国際航空貨物から物流つながりですし、「マーケティングって、なんかかっこいいな」と思って応募しました。単純なもので(笑)。

 そして、作文の試験と面接を受けたら、「新聞記者にならないか」と言われたんです。今度は「新聞記者、かっこいいな」と思いました。それが後々、編集者につながったそもそもの始まりです。

――最初から、書籍の編集者だったわけではないのですね。

 最初は週刊の新聞(業界紙)で、その後、同じ会社の月刊誌の編集部に移りました。そこで、天才肌の優秀な編集長と出合い、取材して書くことを1から10まで鍛えられました。

 自分の頭の中にあることを書くのと、事実を取材し、それを自分の中で媒介して、お金を払って読む人のために文章にするのは、まったく違うんです。読むことと書くことも違います。僕は何も分かっていなかったので、そこでしこたま鍛えられました。その後、IT系の出版社に移り、ビジネス誌やモノ情報誌の編集を経て書籍編集者になりました。

――その出版社には長く在籍されていたのですよね。

 18年ぐらいです。ビジネス書もやりましたし、芸能人や医師の本、それに健康、運動の本も作りました。特定のジャンルに絞らず、いろいろ作っていましたね。

住宅ローンがあり、育ち盛りの子どももいた。それでも40代半ばで「業務委託編集者」を選んだ理由【前編】

正社員を手放すことへの不安

――そこからダイヤモンド社の業務委託になられましたが、業務委託という働き方には、どのような印象を持っていましたか。

 僕は古い人間なので、働くなら正社員が当たり前だと思っていました。ダイヤモンド社からオファーをいただいたとき、正社員ではないということに、不安を感じていたんです。当時は子どもが小学生と中学生で、まさに育ち盛り。住宅ローンもたんまり残っていました。妻も働いていましたがパートですから、「正社員ではないのか」という不安は、やっぱりありましたね。

――かなり悩まれたのですね。

 漠然とした不安を払しょくするために、公的機関の無料相談にも行ってみました。地元だけでなく、妻と一緒に東京・御茶ノ水の相談窓口にも行ったんですよ。そこには社会保険労務士の方たちが数人いらして、事情を話しました。そうしたら、「斎藤さんが悩んでいるのは、非常に前向きな悩みですよ」と諭されたんです。

 その相談窓口には、契約を突然切られたとか、厳しい職場環境にいるとか、そういう切実な相談を抱えた人も数多く訪れるそうです。それに対して僕は、新しい道を提示され、進むかどうかを迷っていたわけです。「これから未来が開けている立場で悩んでいるのですから、私は応援したいです。本の奥付に斎藤さんの名前が載るのを見たいです。頑張ってください」と言ってくださったんです。それで、「ああ、そうか」と、だいぶ心のモヤモヤが晴れた気がしました。

――ご家族は、どのような反応でしたか。

 うちの妻は、一貫して「判断は全部任せる」というスタンスでした。「あなたについていく」なんて言葉にしたわけではありませんが、僕が決断したことには何も言いません。そういう人なんです。

 住宅ローンは、35年ローンでマンションを買い、繰り上げ返済もコツコツしていました。それでも、たしか15年くらいは残っていました。育ち盛りの息子と娘もいましたから、もちろん不安がなかったわけではありません。

住宅ローンがあり、育ち盛りの子どももいた。それでも40代半ばで「業務委託編集者」を選んだ理由【前編】

リスクを取らなければ、物事は好転しない

――それでも最終的には、移ることを決めました。決め手は何だったのでしょうか。

 何かを変えようとすると、必ずリスクがありますよね。でも、リスクを取らなければ、物事は前向きには好転しないのではないか。そういう思いがありました。それで、「一丁やるか」と決意したんです。

――業務委託という働き方に、提示された当初とは違う見方ができるようになったのでしょうか。

 そうですね。最初は「正社員ではない」というところばかり気になっていました。でも、話を聞いていくと、時間に縛られませんが、固定の報酬があり、成果に応じたインセンティブもあります。単に会社に所属するかどうかではなく、編集者としてどう評価され、どんな仕事ができるかを見たほうがいいと思うようになりました。

 それまでの僕は、正社員であることと、安定していることを、ほぼ同じものとして考えていたのだと思います。でも、本当に大事なのは、編集者として力を発揮できる環境があるか、仕事を正当に見てもらえるか、次の可能性をつくれるかということですよね。

今、斎藤さんから見えている世界

――実際に転身してみて、今はどう感じていますか。

 とてもよかったと思っています。もちろん、業務委託なら何もしなくても自由に働けるという話ではありません。企画を出して、本を作って、結果を出します。そこは正社員でも業務委託でも同じです。

 ただ、自分で考えて、自分で動き、その仕事をきちんと評価してもらえる。その環境で編集を続けられたことは、僕にとって大きかったですね。

――現在、転職するつもりはなくても、この募集が気になっている編集者に伝えたいことはありますか。

 僕も、最初は転職するつもりがなかったんです。自分の市場価値を知るぐらいの気持ちで応募しました。だから、今すぐ会社を辞める覚悟がなければ、応募してはいけないわけではないと思います。まずは話を聞いてみて、自分にこういう働き方が合うのかを考えればいいのです。

 正社員という立場を手放すのは、僕にとって不安なことでした。でも、正社員ではないからといって、後ろ向きな選択だとは限りません。プロの編集者として前に進むための絶好の選択肢になることもあります。僕の場合は、あのときリスクを取ったことで、仕事は前向きに好転したと思っています。

――ありがとうございました。現在、ダイヤモンド社では、業務委託の「プロフェッショナル編集者」を募集中です。多くの方からのご応募を心よりお待ちしています。「募集要項」をご覧ください。※「報酬や評価制度」については後編にて。
(写真:ダイヤモンド社/今野良介)

住宅ローンがあり、育ち盛りの子どももいた。それでも40代半ばで「業務委託編集者」を選んだ理由【前編】