『5年で1億貯める株式投資』(26万部)、『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』(13万部)、『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(18万部)など、ヒット作を連発する斎藤順さん。なぜ正社員を離れ、業務委託の「プロフェッショナル編集者」を選んだのでしょうか。報酬制度から感じたのは「編集者へのリスペクト」でした。成果が正当に評価される一方、企画やタイトル、カバーについては、経験豊富な同じ部署の仲間にいつでも相談できる。編集者として力を発揮できる環境について聞きました。ダイヤモンド社では現在、「プロフェッショナル編集者」を募集中です。こちらの「募集要項」をご覧ください。

――「業務委託の編集者」と聞くと、どのような働き方を思い浮かべるでしょうか。会社から離れた場所で、一人で本を作り、完成したものを納品する。正社員よりも立場が弱く、仕事や収入も不安定。そんなイメージを持つ人も少なくないかもしれません。しかし、ダイヤモンド社の書籍編集局 第四編集部で業務委託編集者として働く斎藤順さんは、提示された報酬制度から「編集者へのリスペクト」を感じたといいます。また、企画やタイトル、カバーについて編集部の仲間にいつでも相談できる環境を、「業務委託なのに、一人ではない」と語ります。報酬や評価は、どのように決まるのでしょうか。業務委託編集者は、編集部とどのように関わりながら本を作っているのでしょうか。実際の働き方を聞きました。
報酬テーブルから感じた、編集者へのリスペクト
――ダイヤモンド社から業務委託の働き方について話を聞いたとき、時間に縛られない固定報酬とインセンティブについても説明を受けたのですよね。
そうです。金額も含めて、いくつかのコースを説明してもらいました。その報酬テーブルには、ひと言で言うと「編集者に対するリスペクト」を感じました。
――リスペクトですか。
業務委託というと、会社によっては「正社員ではないから、安く戦力になってもらえればいい」という考え方もあると思うんです。
でも、僕が提示されたものからは、そういう感じがしませんでした。「会社として出せる精いっぱいの提案です」という誠意を感じたんです。実際にその言葉を言われたわけではありません。でも、僕にはそう伝わってきました。
会社の中でこの制度を通すためには、いろいろな準備や調整が必要だったはずです。編集者への敬意を持ちながら、会社にとっても成立する仕組みを作っている。それを見て、「マネジメントの真髄を見た」という感じがしました。

――成果に応じて支払われるインセンティブについては、どのように受け止めていますか。
インセンティブをもらえるということは、それだけ「会社に貢献できた」という一つの証明だと思っています。僕の立場では、仕事を評価してもらうことが、次の契約にもつながります。だから、金額がいくらかということだけではないんです。
インセンティブがつくと、デスクの方が「おめでとうございます」と言ってくれるだけでなく、「貢献してくれて、本当に助かります。ありがとうございます」と言ってくれるんです。そこがうれしいですね。青臭い言い方ですけど、「また家族に飯を食わせられるな」という自信も、少し高まります。
――金額以上に、仕事を認められたという実感が大きいのですね。
そうですね。きちんと組織に貢献できた、自分が役に立って評価してもらえたことがうれしいです。ただ、当然ですけど、出した本が全部売れるわけではありません。
――売れなかったときは、どのように気持ちを切り替えるのですか。
毎回、正しくへこみます。ダイヤモンド社では、火曜日や水曜日に新刊の発売日が設定されることが多く、その週の売れ行きを見ながら、週明けの月曜日に担当部署で増刷するかどうかが検討されます。月曜日の午前中、増刷の連絡が来るかどうか。そこは、編集者として一番緊張するところです。増刷は、編集者にとって一番のご褒美ですから。
連絡が来なかったら、「ああ、ダメだったか」とへこみます。もちろん、2週目、3週目に動き出す本もあるので、その時点でダメだと決まったわけではないのですが。あれだけ精神的にも労力的にも力を注いで作ったのに、結果が出なかった。努力が報われなかったような“徒労感に苛まれるような感覚”にはなります。
――そこで「正しくへこむ」というのが、斎藤さんらしい言葉ですね。
無理に前向きになる必要はないと思うんです。売れなければ、ちゃんとへこみます。ただ、僕は比較的コンスタントに本を作るタイプなので、次に刊行する予定の本も動いています。いつまでもへこんではいられないんですよね。
新しい著者さん、特に第一作を担当することが多いので、どれだけ作り込んでも、売れるかどうかは最後には“結果論”という面があります。それでも、へこみながら考えることで、次につながる答えが少しずつ見つかってくると思っています。
「刊行点数ではなく、売り上げで評価する」
――ダイヤモンド社の評価方法については、どのように感じていますか。
年間の刊行点数ではなく、売り上げ(金額)をベースに評価しているところは、合理的だと思います。編集者には、それぞれ違うスタイルがあります。限られた点数を一冊一冊作り込んで、高い確率で当てる人もいます。僕のように、ある程度の点数をコンスタントに作る中で、売れる本を生み出していくタイプもいます。どちらか一つの型だけが正解ではないんですよね。
本をたくさん出すこと自体が評価されると、売れるかどうかよりも刊行点数を優先するようになってしまうことがあります。一方で、売り上げを基準にするなら、点数を絞る人も、多く作る人も、それぞれのスタイルで挑戦できます。
もちろん、たくさん作って全部売れないとか、年間一冊しか作らず、その一冊も売れないとなれば、また別の判断は必要です。でも、「何冊作らなければならない」という一つの型だけに押し込められない評価システムは、すごくいいと思います。

――斎藤さんは、ダイヤモンド社について「理不尽がない」とも話していました。
前職と比べて感じたのは、「理屈が通じる」ということです。企画の判断も、初版部数も、増刷部数も、過去の実績やジャンルの数字をベースに判断されます。数字をベースとする判断は、意外と公平なんですよ。納得度合いも高まりやすいですし、少なくとも、誰かの好き嫌いや属人的な関係だけで決まるものとはまるで違います。
また、意見が違っても、正論をもって話し合うことができます。決定権者による理不尽もない。何でも褒めてもらえるという意味ではないですよ。編集者が責任を持って企画を出し、代替案もなしに否定されて終わるのではなく、適切なアドバイスをもらえます。そして、「やってみなよ」とスタートラインに立たせてもらえます。こんな恵まれた環境で働けることは、本当にありがたいことだと、業務委託契約を結んで以来、ずっと感謝しています。
「業務委託だけど、決して一人ではない」
僕が仕事をしている第四編集部は、ダイヤモンド社と業務委託契約を結んだプロフェッショナル編集者が集まるチームです。それぞれが独立して担当書籍を手掛けながら、企画やタイトル、カバーなどについて日常的に意見を交わしています。
――第四編集部には、斎藤さんと同じように業務委託契約を結んでいる編集者が複数人います。業務委託というと、個人で仕事をするイメージもありますが、編集部の中で孤立することはありませんか。
そこは、僕が入る前に想像していた業務委託の働き方とは違いました。周りにも同じ立場の編集者がいるので、疎外感はありません。編集会議という実際に顔を合わせる場もありますし、フェイスブックのメッセンジャーに設けている第四編集部のグループでも随時意見をもらえます。週に一度、毎週水曜日に行っている編集会議まで待つ必要はないんです。
「タイトルで迷っているのですが、どちらがいいと思いますか」と聞くこともありますし、「こういう著者候補を思いついたのですが、どう思いますか」という、まだ企画になる前の段階でも相談できます。
――実際に、編集部の意見で判断が変わった例はありますか。
『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』のカバーを作ったときですね。デザイナーさんから、方向性の違うカバー案をいくつかいただきました。僕自身は複数の案で迷っていたので、メッセンジャーで編集部のメンバーに見てもらったんです。そうしたら、ある案に意見が集中しました。「このカバーが、俺に読んでくれと言っているように見える」とか、「手に取れと言っている感じがする」とか、同じ部署の編集者に説得力のある客観的な意見をもらえたんです。
本当は別の案を有力視していたのですが、そこまで力があるなら、これにしようと決めました。他社での編集長経験者もいたりしますし、いろいろな本を作ってきた手練れの編集者から、随時意見をもらえます。そのありがたさを感じた例ですね。
――カバーを編集部の全員に見せるというのは、珍しいかもしれません。
最初のデスクの方が「隠れて本を作らないでくださいね」とよく言っていたんです。自信がないと、人から意見を言われるのが怖くなり、自分だけで抱え込んで本を作るようになります。でも、それではダメだと。人の目にさらしなさいということですね。
業務委託だからといって、すべて一人でやるわけではありません。裁量を持って自分で進める一方で、迷ったときには相談できます。人に見せて、意見を受けた上で、最後は自分で判断します。そのバランスがあると思います。

「自分の強みを持ちながら、新しいことにも挑戦する」
――どのような編集者が、この働き方に向いていると思いますか。
まず、編集者の仕事の原点は、企画を生むことだと思います。「企画を出してください」と言われて動くのではなく、自分から積極的に出す。大前提として、ここが非常に大切だと思います。
あとは、自分の強みを持ちながら、新しいことにも挑戦できる人ですね。僕はダイヤモンド社の仕事をするまで、株式投資の本をほとんど作ったことがありませんでした。でも、会社(出版社)が変われば、これまでの自分の強みが、そのまま同じように通用するとは限りません。
自分の強みと、出版社の強みが合う部分を探します。一方で、自分の興味や生活環境の変化に合わせて、新しい分野の企画にも挑戦してみます。その両輪で動かすことが大切だと思います。
――完成度の高い企画だけを出そうとしなくてもいいのでしょうか。
最初から全部まとまっている必要はないと思います。「この人を著者にしたら面白そうだ」「このテーマが気になっている」という段階でも、まず相談してみればいいんです。アイデアを練り、動かしながら形にしていかなければ、そもそも検証もできません。
“自分の型”は大切です。でも、「自分はこの型以外ではやりません」と閉じてしまわず、ある程度の柔軟性を持って動きます。ちゃんと頑張っていれば、どこかで自分と会社の強みがはまる部分が出てくると思います。
――経験のある編集者が業務委託として加わることには、どのような魅力がありますか。
編集者としての裁量がありながら、孤立しないことだと思います。自分で企画を考え、本を作り、結果に責任を持ちます。成果は、報酬や次の仕事という形で評価されます。でも、企画やタイトル、カバーについて、一人で抱え込む必要はありません。
僕だけでなく、ほかの出版社を経験して第四編集部で仕事をするようになった仲間の編集者も、口をそろえるかのように「いい会社だよね」と言います。冗談交じりに「ユートピア(理想郷)ですよね」と言うこともあるぐらいです。もちろん、楽をして成果が出る場所という意味ではありません。でも、理不尽さが少なく、自分の仕事に向き合えます。プロの編集者として挑戦し続けるために、最高の環境が用意されていると感じています。
――ありがとうございました。現在、ダイヤモンド社では、業務委託の「プロフェッショナル編集者」を募集中です。多くの方からのご応募を心よりお待ちしています。「募集要項」をご覧ください。※「正社員から業務委託という働き方を選んだ理由」については前編にて。
(写真:ダイヤモンド社/今野良介)




