業績が悪化し、株価が下がり続ける会社は「買ってはいけない銘柄」なのだろうか。『ウォーレン・バフェットはこうして最初の1億ドルを稼いだ』(グレン・アーノルド:著、岩本正明:訳)には、若き日のバフェットが凋落企業の隠れた資産に目をつけ、約50%の利益を得た実例が描かれており、割安株を見抜く視点が学べる。本連載では、本書の内容から、ウォーレン・バフェットの投資術をお伝えしていく。(構成:ダイヤモンド社書籍編集局)
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株価より高い「隠れ資産」とは
割安だと思って買った株が、いつまで経っても上がらない。そんな経験を持つ個人投資家は多いのではないだろうか。
ましてや業績が右肩下がりの会社となれば、いくら株価が安くても手を出すのは怖いはずだ。
本書には、まさにそうした「凋落企業」への投資で成功した実例が登場する。かつては保険会社向けの詳細な市街地地図で儲けていたものの、そこから利益が激減していたサンボーン・マップス社への投資だ。
本書によれば、1938年に110ドルだった同社の株価は、1958年には45ドルまで下落していた。それでも28歳のバフェットが投資したのは、株価の裏にこの会社の隠れ資産を見つけたからである。
45ドルの株に65ドル分の資産
本書には、サンボーン・マップスが地図ビジネスとは別に、一株当たり65ドルに相当する有価証券を保有していたと書かれている。
時価総額約470万ドルの会社が、約700万ドル相当の売買可能な有価証券を抱えていたのだ。バフェットはパートナーへの手紙で次のように述べている。
これはバフェットの師・グレアム直伝の「安全性マージン」、つまり本来の価値より十分安く買うことで損失リスクを抑える考え方の実践である。
ただし問題があった。自社株をほとんど持たない旧態依然とした経営陣が、この資産を株主に還元せず、8年間で5度も配当を減額していたことだ。
そこでバフェットは投資事業組合や友人・家族とともに株式を買い集め、自ら取締役に就任した。そして1960年、会社が保有する有価証券と株式を交換させることに成功し、パートナーは約50%の利益を得たのである。
個人投資家が学ぶべき視点
もちろん、個人投資家が経営を動かせるほど株式を買い占めるのは現実的ではない。それでも、参考になる部分はあるはずだ。
著者はこのケースの教訓として、正味流動資産価値を下回る価格で買う安全性マージンと、資金力がもたらす経営への影響力の2つを挙げている。
「衰退している会社=危険な投資先」とは限らない。事業の中身と保有資産の価値を切り分ける習慣を持てば、市場が見落とした「お宝銘柄」に出合える確率は高まるかもしれない。



